妊娠・産褥経過におけるラット乳腺の細胞質エストロゲンレセプターの変動に関する研究
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概要
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[目的] 乳汁分泌機序におけるエストロゲン(以下Eと略)の役割を解明する求めに,乳腺の細胞質レセプターめ最大結合部位数(以下N.B.S.と略)の変動を検討した.[方法]ウィスター系ラットの乳腺の105,000xgの上清をBinding fractionとした.Binding fractionと非標識エストラディオールを4℃で30分間Preincubationし,その後^3H-estradiolを加乏て4℃60分間incubationするexchang assayにより特異的結合能を求めた.得られた結果より用量反応曲線とScatchard plotを描き,N.B.S.と解離定数を算出した.[結果](1) 乳腺の105,000xgの上清にはEレセプターが存在し,解離定数は (3.1±1.9)×10^<-19>Mであった.結合反応は15分で現れ60分で飽和に達した.(2) 乳腺の細胞質EレセプターのN.B.S.は妊娠産縟経過で変動した.i) 妊娠経過中は2.5〜3.8pmol/mg. protein (以下略) で著明な変動はないが,分娩数は当日ですでに7.6と有意に上昇した.ii) 産縟に授乳させると5日では8.0と分娩当日と差はないが,10日では58.9と約7〜8倍の著明な増加を見た.(3) 乳腺の細胞質EレセプターのN.B.S.を産縟の授乳と非授乳で比較した.産縟5日では非授乳々腺は授乳々腺の1/3,産縟10日では約1/5に有意に減少した.しかし両日の非授乳々腺のN.B.S.は共に妊娠経過中と類似の低値を示した.(4) 分娩当日に去勢,または分娩当日および産縟5日にestradiol,testosterone,CB-154を投与し産縟10日に実験した.estradiol投与群は乳腺のN.B.S.は定量できない程減少していた.他の3群は同日の産縟授乳々腺の1/5に減少したが,同日の非授乳々腺の2〜3倍であった.(5) in vitroでtestosterone,progesterone,cortisolを添加し拮抗反応の有無を見たが,いずれも拮抗を証明することはできなかった.(6) 各実験結果のN.B.S.と血清プロラクチン値の相関を見たが,一次相関はなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-06-01
著者
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