透明帯除去ハムスター卵とヒト精子の貫通 : 培養液に添加された血清アルブミンが貫通に及ぼす影響

概要

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透明帯除去ハムスター卵とヒト精子との貫通現象は1976年Yanagimachi[ヤナギバシ]et a1.^<23)>によって報告され,ヒト精子と受精能を検討するために臨床的にも広く利用されている.しかし,諸家の報告は培養液の種類・濃度も異なり,その結果も大幅に異なっている^<7)9)11)15)19)24)>.その大きな要因と考えられる培養液中の血清アルブミンFraction ？(Lot.121F-0277,sigma),Essentially Fatty Acid Free Prepaed from Fraction ？(Lot.110F-9350,Sigma)(以下F.A.F.と略す),Crystalized and Lyophilized Essentially Globulin Free(Lot.91F-9340,Sigma)(以下G.F.と略す)3種類について3.5%,0.3%濃度で貫通率,平均貫通精子数を比較検討した.1)Semen analysisが正常なcase A,B,Cの3名について各々3.5%,0.3%濃度でFraction？,F.A,F.,G.F.3種類の血清アルブミンを検討し,以下の結果を得た.case Aでは貫通率を3.5%濃度でみると,Fraction？で13.3%,F.A.F.で8,7%,G.F.で97.4%を示し,G.F,を用いた場合が最も良好な結果を示した.濃度を0.3%に下げると,G.F.では貫通率が78.8%とやや低下したが,Fraction？では逆に64.4%とアルブミンの濃度を下げることによりかえって貫通率が上昇した.平均貫通精子数も同様の結果を示した.case B,case Cともcase Aより貫通率,平均貫通精子数は低値を示したが,アルブミンの種類,濃度についてはcase Aと同様な傾向を示した.2)3.5%Fraction？(Lot.121F-0277,Sigma)を用いた実験ではヒト精子の卵への進入が阻害され,電気泳動法による蛋白分画で,α_1,α_2グロブリン分画に差を認めることから,この分画に阻害物質が含まれることが示唆された.3)F.A.F.では3.5%,0.3%両濃度で貫通が低値を示すことから,適量のfatty acidが貫通に必要であることが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-02-01

透明帯除去ハムスター卵とヒト精子の貫通 : 培養液に添加された血清アルブミンが貫通に及ぼす影響

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