コラーゲン・ゲル層を用いたマウス胚の in vitro 培養系の確立

概要

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これまで報告されてきているin vitro培養実験系をよりin uteroの形態に近いものにするため、コラーゲン・ゲルを基質として用いた培養系を考察し、その上でマウス胞胚の培養を行なった。そしてコラーゲン・ゲルへ付着した胚の形態観察を電子顕微鏡による観察も含めて行なった。マウス胞胚は、hatch後コラーゲン・ゲル層上に付着し、順調に発育・分化を遂げた。培養後3あるいは4日目に観察した胚では、細胞突起およびvilliがmural trophoblastよりコラーゲン・ゲル内へ侵入しており、それらの周囲のコラーゲン線維は消失したり乱されたりしていた。またmural trophoblastには空胞が多く含まれたほか破壊細胞も多い一方、ステロイド産生細胞が観察された。内細胞塊由来部分を取り囲むpolar trophoblastには空胞は少ないものの、やはり一部はステロイド産生能を有していた。mural trophoblast と内細胞塊由来部分間にはdesmosomeないしintermediate junctionが観察された。内細胞塊由来部分の各細胞には形態的な差異はなかった。以上、コラーゲン・ゲル層を基質として用いた胚の培養系は、胚の発育・分化についての研究に利用できるばかりか、in uteroにおける着床にともなう諸現象を、それに近い形で再現できるものであると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-06-01

コラーゲン・ゲル層を用いたマウス胚の in vitro 培養系の確立

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