生理的閉経後婦人と去勢による閉経後婦人における血清estradiol, progesterone, LHおよびFSH値の閉経後期間による変動
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概要
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閉経発来機序の解明を目的として,去勢による閉経後(以下去勢後と略)婦人と生理的閉経後(以下閉経後と略)婦人の血清estradiol(以下E_2と略),progesterone(以下prog.と略),LHおよびFSH値をradioimmunoassay(以下RIAと略)で測定し,これら血中ホルモン値について閉経後および去勢後の同じ経過期間の婦人を比較した. 〔I〕血清E_2値は去勢後ほぼ一定の低値を示した.閉経後1/3〜11/12年と1年の群は去勢後1年以内および1〜3年の群に比して有意に高かつた.閉経後2年およびそれ以後の群と去勢後の各群との間に有意差は認められなかつた.去勢後の各群間に有意差は認められなかつた. 〔II〕血清prog.値は1年以内と1〜3年の群において閉経後に比して去勢後は有意に低かつた.4〜9年の群においては有意差は認められなかつた.去勢後の各群を比較すると去勢後1年以内に比し1〜3年後,4〜9年後と次第に低下した. 〔III〕血清LH値は1年以内と1〜3年の群では閉経後に比して去勢後は有意に高かつた.4〜9年の群では有意差は認められなかつた.去勢後の各群を比較すると1年以内に比して1〜3年の群は上昇し,4〜9年の群では低下した. 〔IV〕血清FSH値は血清LH値とほぼ同様な変動を示した.去勢後の各群を比較すると4〜9年の群は他の群に比して有意に低値を示した. 〔V〕以上の結果より閉経後は去勢後と異なり卵巣機能は低下していても閉経後1〜2年間はその機能が保たれる.従つて閉経後は去勢後にみられる様な血清LH,FSH値の急激な上昇はみられず卵巣機能のほぼ閉止する閉経後4〜9年に上昇する.これはいわゆるnegative feed back機序によるものと思われるが,このnegative feed back機序の感受性にも加齢による変化があり得ることも示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-03-01
著者
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