肝硬変症ならびに近縁肝病変の三次元形態学
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概要
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さまざまの型の肝硬変症の4剖検例をえらび,肝臓の連続切片から病変の三次元復構を行ったところ,結節の立体的形状ならびに血管系との構築関係は,組織像からの予想を裏切るものであった.結節は分離しておらず,相互に鎖状に癒合しつつループをなして連なり,一種の三次元ネットワークを構成していた.同時にそれは肝内門脈・肝静脈枝と絡みあった関係にあり,血管系と共役のネットワークと見なされた.このような構造の起源は,zonalの肝壊死をinitiationとする際に残存実質域がネットワークをなすことに求められた.このことは,定型的なzonalの壊死分布を示した亜急性肝炎例において,やはり血管系と共役の実質ネットワークが確認されるに及び,一層たしかなものとなった.同様のネットワーク構造は,さらに「グ鞘炎型」慢性肝炎例においても見出された.このように,血管系と共役の「実質ネットワーク」は,それら慢性肝病変に共通した病像の骨格と考えられた.以上の結果はまた,ネットワークの比較解析から肝硬変症の病理発生を論ずる位相幾何学的方法論に,一つの見通しをもたらした.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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