透明帝除去ハムスター卵へのヒト精子受精 : 透明帯溶解剤の違いが受精に与える影響の検討

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透明帯除去ハムスター卵とヒト精子との受精現象は1976年Yanagimachi et al.によって発見され,ヒト精子の受精能をスクリーニングするために臨床的にも利用されている.透明帯を除去するには一般にtrypsinによる処理が行われるが,他の蛋白分解酵素やS-S還元剤でも溶解除去は可能である.著者らは種々の溶解薬剤を用いて種々の透明帯除去ハムスター卵を作製し,ヒト精子による受精率をtrypsin処理の場合と比較検討した.透明帯溶解薬剤として0.1% trypsin,0.05% pronase,0.1% α-chymotrypsin,300IU/ml Dispase(蛋白分解酵素),0.05M mercaptoethanol,0.025M dithiothreitol(DTT)(S-S還元剤)を用いた.処理時間は3分と20分である.1)3分間処理して得られた透明帯除去ハムスター卵へのヒト精子受精率は以下の順であった:trypsin処理卵76.4%,mercaptoethanol処理卵75.6%,α-chymotrypsin処理卵64.7%,pronase処理卵63%,Dispase処理卵61%,DTT処理卵25.9%.2)20分間処理の場合:mercaptoethanol処理卵83%,trypsin処理卵75.5%,Dispase処理卵63%,pronase処理卵54%,α-chymotrypsin処理卵51%,DTT処理卵13%.3)3分間処理と20分間処理の場合を各々で比較すると,受精率には両者間で大きな差はみられなかった.以上より,ヒト精子と透明帯除去ハムスター卵とのin vitro受精実験にtrypsinもしくはmercaptoethanol処理による透明帯除去ハムスター卵を用いるべきと思われた.
1982-12-01

透明帝除去ハムスター卵へのヒト精子受精 : 透明帯溶解剤の違いが受精に与える影響の検討

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