西洋ミヤコグサ由来"Super-growing Root" (Lotus corniculatus L.)の発根・伸長に及ぼす亜鉛添加の効果
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概要
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オーキシンと亜鉛の相互関係の解明を目的とし,マメ科牧草西洋ミヤコグサ「バーズフットトレフォイル」由来のSR切断根を使用した亜鉛の添加実験,さらにオーキシンとの比較実験を行い,発根化における両者の効果を検証した.切断根の生長は亜鉛濃度に大きく依存した.MS標準培地の亜鉛濃度である亜鉛0.03mmol L^<-1>区の生体重1.489,亜鉛含量217mg kg^<-1>と比較すると,亜鉛0.09mmol L^<-1>区では,生体重で約1.2倍(1.78g),根中亜鉛濃度で約3.7倍(798mg kg^<-1>)の増加が認められた.生体重は亜鉛0.09 mmol L^<-1>区でピークとなり,亜鉛0.15mmol L^<-1>区では僅かに低下,0.3mmol L^<-1>区では顕著に抑制された.根の亜鉛添加による形態には顕著な違いが認められ,亜鉛0.09 mmol L^<-1>区の分岐根数は,Zn 0.03mmol L^<-1>区の2.6倍にも増加した.亜鉛0.15mmo1 L L^<-1>区においても同様であり,亜鉛0.03mmol L^<-1>区分岐根数より2.5倍も増加した.このように,SRの生音量は亜鉛0.09mmo1 L^<-1>までは増加し,それ以上の濃度では低下した.特に,亜鉛0.3mmo1 L^<-1>では伸長も発根も認められなかったが,カルス化には至らなかった.一方,一次根の長さは亜鉛0.03mmolmmo1 L^<-1>区をピークに,亜鉛濃度の増加に伴い短くなる傾向が認められた.切断根培養培地にオーキシンを段階的に添加した場合には,オーキシンの極く低い0.01mg mmo1 L^<-1>レベルでは分岐根数の増加が見られたものの,それよりも少しレベルを高めるだけで,発根および根の生育は抑制されカルス化を促進した.以上の結果から,亜鉛にはオーキシン生理作用の一つである発根化を,オーキシンの直接的な作用を促進するのではなく,オーキシン存在下において亜鉛の生理作用としての別の機能として,オーキシンに連動した発根化に関与しているものと推察される結果を得た.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 2004-02-05
著者
-
明石 良
宮崎大学フロンティア科学実験総合センター
-
佐伯 雄一
宮崎大農
-
長友 由隆
宮崎大農
-
赤尾 勝一郎
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
赤尾 勝一郎
宮崎大学農学部
-
佐伯 雄一
宮崎大学農学部
-
明石 良
宮崎大学農学部生物環境科学科
-
井上 昭彦
宮崎大学農学部生物機能科学講座
-
長友 由隆
宮崎大学農学部生物機能科学講座
-
高木 浩
宮崎大学農学部
-
長友 由隆
宮崎大 農
-
高木 浩
九州大学農学部
-
小口 慶子
宮崎大学農学部
-
長友 由隆
宮崎大学農学部
-
明石 良
宮崎大 フロンティア科学実験総合セ
-
明石 良
宮崎大学農学部
-
佐伯 雄一
宮崎大学農
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