圃場における窒素固定エンドファイト接種サトウキビの固定窒素量の推定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
While the nitrogenous fertilizer produced industrially brought the significant increase of crop harvests, it also caused problems by excess fertilizer application, such as groundwater pollution. We investigated the inoculation effect of the nitrogen-fixing endophytic bacteria (diazotrophic endophytes) on nonleguminosae plants sugarcane in field condition, using diazotrophic endophytes as one means for realizing fertilization nitrogen reduction. Two diazotrophic endophytes, Enterobacter sp. No. 35 and Herbaspirillum sp. B501, were inoculated into two sugarcane cultivars (NiF8, Ni15), and change of the plant growth and the fixed nitrogen contribution by 15N dilution method were measured. Although the plant growth was promoted for both inoculated sugarcanes immediately after inoculation, a difference was not observed at a crop season. It was suggested that the utilization rate of nitrogen fertilization would become high and a possibility that growth by an inoculated diazotrophic endophyte would be promoted in Herbaspirillum sp. B501 inoculated sugarcanes. But, in Enterobacter sp. No. 35 inoculated sugarcanes, the contributing rate of fixed nitrogen was not difference. When the infection and fixing in sugarcane were investigated using the GFP-labeled diazotrophic endophytes, being infected and fixed to the root one month after inoculation was observed. Moreover, high activity of nitrogen fixation was observed in sugarcane which inoculated diazotrophic endophytes.工業的に生産された窒素肥料は農作物の飛躍的な増収をもたらしたが, 一方で, 過剰施肥による地下水汚染が問題となっている. そこで, 農耕地へ投入した施肥窒素による地下水汚染を逓減させる効果的な手段として, 非マメ科植物に内生し, 窒素固定活性を持つ細菌 (窒素固定エンドファイト) の活用が注目を集めている. 本研究は, 窒素固定エンドファイトを接種した圃場植サトウキビの固定窒素の寄与率を明らかにし, 窒素肥料削減の可能性を探ることを目的として行った. 供試したサトウキビ2品種 (NiF8, Ni15) に, 窒素固定エンドファイト Enterobacter sp. No.35 とHerbaspirillum sp. B501を各々接種し, 生育量の経時的変化を追うと共に, 収穫後15N同位体希釈法による固定窒素の寄与率を測定した. 両接種区とも接種直後は生育量が促進されたが, 収穫期には差が見られなかった. Enterobacter sp. No. 35接種区では, 無接種区と同等の重窒素含有率を示し, 接種菌による固定窒素の寄与率は圃場レベルで差が出るほど高くはなかった. 一方, Herbaspirillum sp. B501接種区では, 施肥窒素の利用率が高くなっており, 接種菌によって草勢が強まる可能性が示唆された. またGFP標識した窒素固定エンドファイトの接種試験を行い, 接種直後のサトウキビにおける感染, 定着ならびに窒素固定活性を調査した. その結果, 接種1ケ月で根などに感染, 定着していることが観察され, 窒素固定活性も接種サトウキビにおいて無接種区より高い傾向が得られた.
- 2009-01-30
著者
-
佐伯 雄一
宮崎大農
-
赤尾 勝一郎
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
赤尾 勝一郎
宮崎大学農学部
-
赤尾 勝一郎
生物資源研
-
佐伯 雄一
宮崎大学農学部
-
中村 和美
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
谷田 将人
宮崎大学・農
-
鵜戸西 夏奈
宮崎大学・農
-
山本 昭洋
宮崎大農
-
山本 昭洋
宮崎大学農
-
谷田 将人
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
園田 誠一郎
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
鵜戸西 夏奈
宮崎大学農学部応用生物科学科生物機能科学講座
-
鵜戸 西夏奈
宮崎大学
-
赤尾 勝一郎
宮崎大学 農学部
-
佐伯 雄一
宮崎大学農
関連論文
- ニガウリの緑色長円筒形系統と白色紡錘形系統間の交雑F2世代における果長, 果径, 果実色およびアスコルビン酸含量
- 圃場における窒素固定エンドファイト接種サトウキビの固定窒素量の推定
- 3 東チベット高原退化草地 "黒土型" 土壌の粒径組成について(九州支部春季講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- 14 豚糞尿のメタン発酵消化液における食中毒性微生物の検出(九州支部講演会(その1),2008年度各支部会)
- 15 内生窒素固定細菌のサトウキビ茎部における窒素固定活性の変動(九州支部講演会(その1),2008年度各支部会)
- P8-5 サトウキビにおける窒素固定エンドファイトの接種効果に影響する土着内生菌の存在(ポスター紹介,8.共生,2008年度愛知大会)
- P8-3 エンドファイトの種類とサトウキビの品種の違いが窒素固定エンドファイトの定着に及ぼす影響(8.共生,2007年度東京大会)
- 8-2 Herbaspirillum sp. B501gfp1の直接接種法によるサトウキビ茎への感染と増殖(8.共生,2007年度東京大会)
- 九州南部におけるダイズの晩播が子実中のイソフラボン含有量に及ぼす影響
- 芋製焼酎粕施用農耕地における硝酸態窒素濃度の経時的変化 : 第I報. 現地調査
- 19-44 メタン発酵消化液の土壌還元が黒ボク土の理化学性および微生物性に及ぼす影響(19.肥料および施肥法,2009年度京都大会)
- P8-3 ダイズの根粒着生におけるRj遺伝子型と温度の影響(ポスター紹介,8.共生,2009年度京都大会)
- 8-9 Rj遺伝子型ダイズの根粒菌選択性に関する群集構造解析(8.共生,2009年度京都大会)
- 8-8 ツルマメのRj遺伝子と地理的分布に関する研究(8.共生,2009年度京都大会)
- 8-3 窒素固定エンドファイトの接種効果向上に向けた資化性の検討(8.共生,2009年度京都大会)
- 暖地向けダイズ品種における子実中の無機成分含有量について
- 15 ベジフルーツの育苗と果実生産に及ぼす有機資材の影響(九州支部講演会(その1),2007年度各支部会)
- 1 ダイズ根粒菌の土壌中における占有率評価法の開発(九州支部講演会(その1),2007年度各支部会)
- P8-9 土着ダイズ根粒菌の占有率に及ぼす温度の影響(ポスター紹介,8.共生,2008年度愛知大会)
- P8-8 日本の土着ダイズ根粒菌の群集構造と分布に関する研究(ポスター紹介,8.共生,2008年度愛知大会)
- 25 ダイズにおける晩播が子実成分に及ぼす影響(九州支部講演会(その2),2006年度各支部会)
- 13 遺伝子多型を利用したヒュウガトウキの簡易識別法の開発(九州支部講演会(その1),2006年度各支部会)
- 11 23S-5S rDNA領域のRFLP解析によるダイズ根粒菌の系統分類(九州支部講演会(その1),2006年度各支部会)
- 10 土着ダイズ根粒菌の分布と宿主遺伝子型による根粒菌の分離傾向(九州支部講演会(その1),2006年度各支部会)
- P8-4 宿主遺伝子型による土着ダイズ根粒菌の分離傾向(8.共生,2007年度東京大会)
- 8-6 ダイズ根粒菌Sinorhizobium属USDA株の16S-23S rDNA ITS領域の多様性(8.共生,2007年度東京大会)
- S6-20 ダイズ根粒菌の宿主への感染傾向に関する解析 : 根粒着生・培養を通して見える根粒菌生態(S6.現場から見た分子生態学的手法による土壌微生物研究,2007年度東京大会)
- 虫害を受けたダイズ子実のポリフェノール含量,ラジカル消去活性およびイソフラボン含量
- 宮崎県で栽培された暖地向けダイズ品種のイソフラボン含量
- ハウス栽培キュウリの生理障害に及ぼす亜鉛と銅の影響
- 豚ぷん由来ズーコンポストの抗菌性について
- 15 暖地向けダイズのタンパク質, イソフラボンおよび無機成分含量の品種間差異(九州支部秋季講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- 15 畜糞ウジ堆肥が作物の品質及び病害耐性に及ぼす影響(九州支部春季講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- 12 窒素固定エンドファイトへのGFP (緑色蛍光タンパク質) 遺伝子の導入法の検討(九州支部春季講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- P12-3 西南暖地におけるダイズの晩播が子実中のイソフラボン含量に及ぼす影響(12. 農産物の品質・成分, 2006年度秋田大会講演要旨)
- P8-13 サトウキビの窒素固定活性に影響する環境要因の解析(8. 共生, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 8-10 ダイズ根粒菌 Sinorhizobium fredii の16S-23S rDNA ITS領域の多様性(8. 共生, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 8-9 南西諸島における土着ダイズ根粒菌の分布解析(8. 共生, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 8-8 Estimation ofbiologically fixed nitrogen in a non-leguminous plant, sugarcane, using ^N_ gas
- サトウキビに接種した窒素固定エンドファイト Herbaspirillum の動態追跡のための緑色蛍光タンパク質の利用
- イネにおける不定根の発生とその伸長に及ぼす亜鉛とオーキシンの影響
- 黒ボク土における土壌線虫の形態的特徴および18S rDNA部分塩基配列による同定・分類
- 日本国内におけるダイズ根粒菌の分布と多様性 : 共生窒素固定の農業技術としての有効利用を目指して
- 1 強磁性鉱物の微量元素組成による南九州に分布する後・中期更新世テフラの類別・同定(九州支部講演会(その1))
- 異なる土壌の土着根粒菌 Bradyrhizobium japonicum の潜在的抗生物質耐性能による多様性の評価
- 2 種子島に分布する古赤色土と赤黄色土の理化学性および石英含量について(九州支部講演会(その1))
- 1 宮崎県下に分布する褐色ローム層の鉱物学的特性(九州支部講演会(その1))
- 13-14 X線光電子分光分析(XPS)による石英識別の可能性(13.土壌生成・分類)
- 13-1 南九州における古赤色土を挟むテフラの同定・対比(13.土壌生成・分類)
- 8-7 土壌pHに関わる土着ダイズ根粒菌の分布解析(8.共生,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 8-6 ベトナムのアルカリ土壌に生息する土着ダイズ根粒菌の系統分類と諸性質について(8.共生,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- P-002 ベトナムのアルカリ土壌に生息するダイズ根粒菌の分類(農耕地生態系,ポスター発表)
- ダイズ根粒形成における高窒素固定能根粒菌の競合能について(8. 共生, 2004年度大会講演要旨集)
- 遺伝子型の異なるダイズから単離したベトナム土着根粒菌の系統分類(8. 共生, 2004年度大会講演要旨集)
- サツマイモ及びサトウキビに内生する窒素固定エンドファイト細菌の分離と同定(8. 共生, 2004年度大会講演要旨集)
- イネから分離された内生窒素固定細菌 Herbaspirillum spp. のサトウキビへの感染について(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 西洋ミヤコグサ由来"Super-growing Root" (Lotus corniculatus L.)の発根・伸長に及ぼす亜鉛添加の効果
- ダイズ根粒菌の分布と多様性に関する分子生態学的研究(日本土壌肥料学会奨励賞受賞)
- 奨-3 ダイズ根粒菌の分布と多様性に関する分子生態学的研究(日本土壌肥料学会奨励賞記念講演,2008年度愛知大会)
- 8-4 GFPを用いたサトウキビ内生菌の感染経路の調査と内生窒素固定細菌の資化性について(8.共生)
- カボチャにおけるオーキシンで誘導される発根とカルス化に及ぼす亜鉛の影響
- イネにおけるオーキシンの発根促進作用に及ぼす亜鉛の影響
- 15 高濃度亜鉛培地のカルスに多量発現するメタロチオネイン様タンパク質の同定(九州支部講演会(その1))
- 19 遺伝型の異なるダイズ品種による土着根粒菌の単離とその特性(九州支部講演会(その1))
- 8-16 異なる遺伝子型のダイズ品種から単離した土着根粒菌の系統解析(8.共生)
- 17 AFLP法を用いたヒュウガトウキのDNA多型解析による系統分類(九州支部講演会(その1),日本土壌肥料学会 支部講演会講演要旨集 2005年度)
- ヒュウガトウキのDNA多型解析による系統分類(九州支部秋季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 3 ハウス栽培におけるキュウリの生理障害に及ぼす亜鉛と銅の相互作用(九州支部講演会(その2),日本土壌肥料学会 支部講演会講演要旨集 2005年度)
- 芋製焼酎粕施用農耕地における硝酸態窒素濃度の経時的変化 : 第II報. 圃場試験
- 15 亜鉛欠乏植物と各種インドール化合物(九州支部講演会要旨(その2))
- 24 亜鉛とカルス(九州支部講演会要旨(その1))
- 25 焼酎粕施用農耕地における硝酸態窒素の動態ならびに肥効について(九州支部講演会(その2))
- PA-01 日本の土着ダイズ根粒菌の分布と多様性(農耕地生態系,ポスターセッションA,ポスター発表)
- Rjダイズからのベトナム土着根粒菌の単離と同定について(九州支部秋季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- オーキシンと供役する亜鉛の役割(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- サツマイモに内生する窒素固定細菌の分離と内生菌の資化性について(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 16S-23SrDNA介在配列を利用したダイズ根粒菌の分類とヒドロゲナーゼ遺伝子保有菌株の分類について(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 宮崎県下のヒュウガトウキ (Angelica furcijuga Kitagawa) の自生地における土壌の理化学性(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- ベルマン法を用いた土壌線虫の抽出法の検討(九州支部春季講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- Nodule formation and distribution of Rj_2Rj_3-genotype soybean infected with Bradyrhizobium japonicum
- 12 Rj遺伝子型ダイズ品種への親和性の異なる根粒菌による根粒形成過程(九州支部講演会(その1))
- 24 ダイズ根粒菌に対するRi_2Ri_3とRi_4遺伝子型ダイズの根浸出物の影響(九州支部講演会(その2))
- 8-13 各種Rj遺伝子型ダイズ根浸出物への根粒菌の走化性(8.共生)
- 27 ダイズの根粒菌株選択機構の解明 : ダイズ根粒形成初期におけるポリペプチドの検出(九州支部講演要旨(その1))
- 8-7 ダイズの根粒菌株選択機構の解明 : Rj_2Rj_3遺伝子型ダイズ根粒の形成初期におけるポリペプチドの検出(8.共生)
- 飽和酸素水供給による底泥中の微生物活動に関する研究
- ^15N同位体希釈法によるサトウキビの固定窒素量の推定
- 第36回若手の会in南九州概要報告
- 3 有機質資材グリーンガイアを活用した環境保全型現地圃場の土壌中の硝酸態窒素の動向(九州支部講演会(その1),日本土壌肥料学会 支部講演会講演要旨集 2005年度)
- イネにおけるオーキシン及び亜鉛誘導性タンパク質のプロテオーム解析(9. 植物の無機栄養, 2004年度大会講演要旨集)
- ITS多型を利用した日本の土着ダイズ根粒菌の分布(8. 共生, 2004年度大会講演要旨集)
- 亜鉛及び銅過剰がキュウリの子づる・孫づる形成に及ぼす影響
- 生物窒素固定の農業における実用性(4)持続的農業生産の切り札として期待される内生窒素固定細菌
- 8-20 ダイズ品種フクユタカから単離した異なる土壌における土着根粒菌の系統解析(8.共生)
- 18 Multiplex PCRによる二種の植物寄生性線虫の検出(九州支部講演会(その1))
- 34 16S-23SrDNA介在配列を利用したダイズ根粒菌の分類(九州支部講演会(その2))
- 13 焼酎粕施用農耕地における硝酸態窒素の動態(九州支部講演会(その1))
- 9-32 オーキシン-亜鉛によるイネの発根伸長に及ぼす培地間差異(9.植物の無機栄養)
- 8-22 ダイズ根粒菌の16S-23SrDNAITS領域を利用した分類とhup遺伝子保有菌株について(8.共生)
- 8-16 異なる土壌型におけるダイズ根粒菌nosZ保有株の出現頻度 : 出現頻度の高い沖積土と低い黒ボク土の主成分解析(8.共生,2010年度北海道大会)