上顎顎外固定装置が顔面頭蓋に及ぼす影響 : 口蓋平面の相違による検討
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概要
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Face bow headgearは, 上顎大臼歯の遠心移動, 上顎骨の成長抑制および加強固定などに用いられる顎外固定装置で, その作用を解明するための研究が数多く行われている. しかしながら, 顔面頭蓋の形態的差異による効果と, 顔面頭蓋の主たる成長発育の場である縫合部で実際に歪み計測を行った報告はない. そこで, 上顎顎外固定装置の作用を解明するために乾燥頭蓋骨を用いて縫合部を含めて歪の計測を行い, その機序の解明を目的として本研究を行った. Hellmanの developmental stage VAに属する口蓋平面の傾斜の異なる乾燥頭蓋骨2体を前処理したのち, edgewise applianceと palatal barを装着して, 矯正線を結紮し上顎歯列を一塊とした. Face bow headgearの short, medium および long outerbow の位置で, Frankfort horizontal planeを基準に上方75゜, 60゜, 45゜, 30゜, 15゜, 0゜, -15゜および-30゜の方向に3kgの荷重で牽引して静歪の測定を行った. 口蓋平面前下方傾斜頭蓋骨では, short 75゜, 60゜および medium 75゜牽引で上顎骨には反時計回りの回転を伴う後上方への変位, short 45゜, medium 60゜および long 75゜より下方の牽引で時計回りの回転を伴う後上方への変位が生じていた. 口蓋平面が前上方に傾斜した頭蓋骨では, short 45゜, medium 60゜および long 75゜より上方の牽引で反時計回りの回転を伴う後上方への変位, short 30゜, medium 45゜および long 60゜より下方の牽引で時計回りの回転を伴う後上方への変位が生じていた. 縫合部上で計測された歪は, 周囲の骨で計測された歪より顕著に大きく, face bow headgear による orthopedic effectが, おもに縫合部で生じていると考えられた. 矯正歯科臨床において face bow headgearを用いる場合, 使用目的と患者の顎顔面形態を把握したうえで, 牽引部位と牽引方向を十分に検討することが重要であることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1995-12-25
著者
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