中国人漢民族学童期の頭蓋, 顎顔面形態的研究
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概要
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中国人漢民族の学童期における正常咬合者群の頭蓋, 顎顔面の成長変化および形態的特徴を把握して, 矯正診断の指針を確立する目的で本研究を行った. 資料としては中国北京市西城区の小学校四校の学童2,518名より正常咬合者群を選び, Hellman's developmental stage IIIA, IIIB, IIICの各群に分けて男女各30名, 合計180名について, 側面頭部X線規格写真を用いて角度的, 距離的計測を行った. 計測には, 分析に必要な計測点35点を設定して, Personal computer (Macintosh Centris 650, Apple Computer, Inc, USA)を用いてデータ処理を行い, それぞれの項目について平均値, 標準偏差を算出し, t-検定を行って比較した. その結果次のような結論を得た. 1.中国漢民族学童の顔面頭蓋の成長はおもに前下方に成長した. 顔面頭蓋の成長に関して, 歯牙年齢別に要約すると, IIIA-IIIB間の成長では, 男子には大きな変化がみられないが, 女子では前下方への成長が認められた. また, IIIB-IIIC間においては男女とも大きな成長変化がみられ, とくに, 女子では二次性徴の peakは早く認められた. 以上のことから, 学童期における顔面頭蓋の成長変化では, 女子は男子に比べて早期に成長発育がみられ, また顔面の大きさでは男子が女子より優っていた. 2.中国人漢民族学童の顔面成長の傾向は上顎部では成長変化が少なく, 下顎部の成長変化が著明であった. 3.中国人漢民族学童と日本人学童の比較では, 前頭蓋底長や下顎骨体長は類似していたが, Gonial angleや Mandibular plane angleは中国人のほうが小さかった. 中国人漢民族学童の上下顎歯槽基底部の成長発育は日本人より水平成分が著明で, とくにオトガイ部の発育は顕著であった. 以上のことから, 中国人漢民族の学童期における, 顔面頭蓋の成長発育のうち, 上下顎骨の前方発育は日本人よりも顕著であり, 同一 Mongoloidにおいて環境や食生活などの相違により顔面頭蓋の成長発育にそれぞれの特徴が出現することが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1995-12-25
著者
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