エマルション型油脂添加による麺のテクスチャーの改良
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概要
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(1)エマルション型油脂を加えて調製した麺は、油脂を添加しない麺に比べて、加熱による吸水が早いため、茹で時間が短縮され、茹でた麺の水分量が多く、重量の増加が大きい。2%油脂添加麺は茹で液の濁度も低く、油脂を添加する改良効果は明らかであったが、4%添加では茹で液の濁度が高く、茹で溶けについては2%付近に極小値があると考えられる。(2)小麦粉生地の特性試験では、油脂を添加した小麦粉のアミログラフィー特性値は良い食感が得られる数値を示した。レジストグラフでは2%油脂添加した生地が伸張性が良く、オプチマムに達する時間が長いことが知られた。(3)麺の物性測定では、油脂を添加した麺は圧縮試験の結果から、軟らかく、凝集性が高く、付着性が低いこと、および、引っ張り試験からも2%油脂添加麺は軟らかく、伸張性が高いことが明らかになった。冷蔵した麺では2%油脂添加麺が付着性が低く、油脂を添加しない麺に比べてゆでのびの少ないことが推定されたが、冷蔵に対する油脂を添加する効果は明瞭ではなかった。(4)グルテン品質試験試料による結果、油脂を添加した活性グルテンは伸張性の良いカーブを示し、油脂を添加する改良効果が認められる。(5)官能調査の結果では2%油脂添加麺が軟らかく、表面がなめらかで、好まれた。(6)光顕及びSEMによる観察では、2%油脂添加麺におけるグルテンの網状構造は0%油脂添加麺に比べて連続性があり、その繊維は太いことが観察された。このことより、油脂の添加は麺の伸張性を強めることが推測された。また、グルテンの網状構造には添加した油脂が包含されていた。(7)以上のことを総合すると、エマルション型油脂の添加は麺に好ましい調理特性・食感・物性や組織構造を与えることがわかった。油脂の使用量については、本実験の結果から粉の2%相当が適量で、4%添加では良い結果が得られなかった。
- 日本調理科学会の論文
- 1992-05-20
著者
-
峯木 真知子
青葉学園短期大学
-
庄司 善哉
秋田大学教育文化学部
-
松本 エミ子
共立女子大学
-
峯木 真知子
聖セシリア女子短期大学
-
庄司 善哉
秋田大学教育文化学部生活者科学
-
庄司 善哉
秋田大学・教育文化・生活者科学
-
庄司 善哉
秋田大学
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