近代ドイツの教会・学校行政機構図(III)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
小論は,ほぼ未着手な研究史の現状を考慮して,まずは,1808年宗教・教育行政機構改革から1846年高等宗務局設置に至るまでの中央一州一県行政機構改革立法史について鳥?的な整理を試みた。この改革史において,教育行政と宗教行政は確かに機能分化していく。だが,その分化は,先行研究で見られたような,教育行政機構の進歩(=近代化・専門機関化)であると一義的に結論づけることはできない。改革は,この分化に関わって,教区次元の特に礼拝規制,従って民衆の信仰生活という公と私が重複する領域を整序化する政策を前面に掲げ,これを実現するために,教育行政と宗教行政を機能分化したのであった。この改革史の断面は,本章で試みられた軍宗教・教育行政機構改革史の観点から読み解くことによって,照射されることができる。だが,かかる整序化が教区・学区社会の教育化(教区・学区民を国家的目的へ権威的に統合する過程)を実現したと即断してはならない。現実は寧ろ逆であったとする,即ち,「集権化されない政治システムの空洞が存在」していたとする見解が,近年非常に有力となっている。この「空洞」化現象は,勿論,地方の自律性の存在を示唆するものである。特にラント議会における,地方(教区・学区)宗教・教育事項に関する審議がこの現象の存在を徴憑するものであると予想される。小論が継続して取り組まねばならない次の課題は,まさしく,プロイセン州ラント議会議事録の分析である。Die Zentral-und Landverwaltungsbehorden fur den Kirchen und offentlichen Schulen wurden funfmal im Jahre 1808, 1815, 1817, 1825 und 1846 gebessert. Die historische Forschungen der Erziehung haben keinen genauen Kenntnissen uber disen Zentral-und Landverwaltungswesen angesammelten. Meine Studie hat die Absicht, diesen Vefassungsreformationen von den folgenden drei Seiten klarzumachen : i ) die Dualitat der burokratischen Landverwaltungswesen, ii) die staatlichen Kirchenverfassung, iii) die staatlichen Vereinigung der offentlichen Schulverwaltung.
- 上越教育大学の論文
著者
関連論文
- GTA(Grounded Theory Approach)におけるフォーマル理論の可能性
- 実践場面におけるGTA(Grounded Theory Approach)の可能性 : ミクロ分析とオープン・コーディングの再検討
- GTAにおけるレベル1の概念化 : 実践場面における質的研究法(2)
- 現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化(6)
- 現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化 (5)
- 保健室の会話記録から相互行為をどこまで読み取れるか : ハーバーマス「コミュニケイション的行為論」の可能性(2)
- 自己調整学習の視点から学習指導を考える(自主シンポジウムE5)
- シンポジウム討論のまとめ(戦後教育史の可能性を探る,(2)シンポジウム,II 教育史学会第50回大会記録)
- 別府 昭郎 著,『ドイツにおける大学教授の誕生 : 職階制の成立を中心に』, 創支社刊, 1998年3月発行, A5判, 336+30頁, 定価6,800円
- 〈特別寄稿〉現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化(2)
- 実践場面における質的研究法
- 生徒の日常性をどこまで構成できるか : 逸脱行為者が学校に「居やすさ」を求める日常性
- 保健室の会話記録から相互行為をどこまで読み取れるか : ハーバーマス「コミュニケイション的行為論」の可能性(1)
- 現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化(4)
- 近代ドイツの教会・学校行政機構図(III)
- 近代ドイツの教会・学校行政機構図(II)
- 近代ドイツの教会・学校行政機構図(I)
- 現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化(3)
- 現代ドイツにおけるネオナチ・ユーゲントの文化(1)
- 読書する農民 : プロイセン近代民衆啓蒙史像の再検討
- 教会・学校査察文書の史料的価値
- 教区における社会的紀律化空間 : 教区査察による公的生活圏の創出
- 18世紀末ノイホラント教区の世界 : 農民日誌にみられる農民の世界像と日常行為
- 山崎彰著, 『ドイツ近世的権力と土地貴族』, 未來社, 2005年1月, 391+xviii頁, 12,600円
- 18世紀プロイセン教区の統合化機能 : 村落学校の規律化機能
- 自己調整による思考の変容可能性 : 大手町小学校「学びのノート」の分析
- 文章構成におけるメタ認知活動の質的研究:大手町小学校1年生の事例研究
- 浅野啓子・佐久間弘展編著, 『教育の社会史-ヨーロッパ中・近世-』, 知泉書館, 2006年12月, viii+301頁, 3,360円
- 保健室の会話記録から相互行為をどこまで読み取れるか : ハーバーマス「コミュニケイション的行為論」の可能性(1)
- 会員調査にみる教育史学と学会に対する意識構造
- プロイセン三月前期州議会審議における「私」「公」言説 : 教育史研究にみられる国家認識再考
- 西洋教育史の研究動向
- 18世紀プロイセン農村学校における基礎学力