GTA(Grounded Theory Approach)におけるフォーマル理論の可能性
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概要
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本稿は実践研究に適合的なGTA の開発研究の一環として取り組まれている。今回は,生成された具体理論の一般性を,フォーマル理論の可能性を射程にいれて,実践研究でどの程度まで拡大する必要があるのか,さらに現実にどこまで可能なのかを概括的に検討する。検討にさいしては,Glaser とStrauss の「死のアウェアネス理論」にもとづき,高校生の信頼感生起の研究を例にとって,具体理論の一般性の意義とその拡大の可能性について論じた。検討の結果は以下の通りである。第1に,高等学校における教師に対する生徒の信頼感は,質的研究(GTA)と量的研究ではカテゴリーと因子に共通性が認められる。第2に,カテゴリー間及び因子間の構造と変化については,GTA が現実との適応力と説明力に適している。第3に,具体理論の一般性は生成された具体理論の実践場面への適用可能性によって担保され,さらに様々な実践場面での適用可能性という意味での一般化の拡大については他の具体理論との比較分析が有効である。This research is a part of the development research of suited GTA for practice research. This time, we outline the meaning and the expansion of the generality of the generated substantive theory . The result of the examination is as follows. First, as for student's reliance on the teacher in the high school, commonality is admitted in the category(in qualitative research)and the factor(in quantitative research). Secondarily, as for the structure and the change between categories and between factors, GTA is suitable for the adaptability and interpretability of the reality. Thirdly, the generality of a substantive theory is mortgaged by the possible application to the practice scene of the generated substantive theory, and, in addition, can obtain a limited suggestion about the expansion of generalization in the meaning of possible application in a variety of practice scenes through the comparison analysis with other substantive theories.
- 2009-02-28
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