蔬菜水耕栽培の実用化に関する研究 V : 溶存酸素濃度が春作および秋作のトマトの生育, 収量におよぼす影響(農学部門)
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概要
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トマト品種大型福寿を湛水循環方式により水耕栽培して, 通気-液循環用ポンプの稼動時間を5/60,5/30,5/15,25/30とする4区を設け, 培養液中の溶存酸素濃度の違いが春作と秋作のトマトの生育および収量におよぼす影響を調べた。溶存酸素濃度はポンプ稼動時間の長い区で高く保たれ, 日中, 特に14時前後に最低となり, その時の濃度は0.8ppmから6ppm以上まで大きな差異を示した。春作と秋作では気象条件が異なるにもかかわらず, 溶存酸素濃度の変化はやや似たパターンを示したが, 最低値は春作よりも秋作で高かった。本実験の範囲では通気-液循環は5/15区で充分であると認め, 最低溶存酸素濃度は2ppm以上と確認した。溶存酸素濃度の違いにより開花から果実収穫までの日数が影響を受けた。栽培終了時の植物体重量は溶存酸素濃度が高いほど大きかったが, 溶存酸素濃度を高めることによる重量増加には限界がみとめられた。本実験で行なった溶存酸素濃度の範囲では, 果実の収量におよぼす影響は僅かであった。春作および秋作とも溶存酸素濃度が高いほど1株あたりの養水分吸収量が大となる傾向がみられ, 特にCa, Mgでその影響が大きかった。植物体各部位の無機成分含有率におよぼす溶存酸素濃度の影響は僅かであった。果実の糖含有率は5/30区で最も高く, 他の区では低くなった。
- 1973-10-15
著者
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