トウガラシ属栽培種の種間交雑に関する研究 II : 種間雑種 F_1 の諸形質(農学部門)
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概要
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我国の乾果トウガラシの育種に資する目的でトウガラシ属の栽培種Capsicum annuum, C. frutescens, C. pendulumおよびC. sinenseの相互間種間交雑によつて得られた雑種F_1について調査を行なつた。F_1ではHeterosisが種々の程度に現われた。C. annuumの関与する組合せのF_1は生育が良くなかつたが, 他のF_1は一般に生育旺盛で草丈や枝張り面積が両親の数倍に達するものもみられた。花冠の有色・有斑は白色・無斑に対し優性を示した。果色は両親の中間を示すものが多く, 果実の脱離性は不脱離性に対し優性を示した。果実の含水量は高い側の親に近く, 乾燥速度も遅い側の親に近かつた。花粉稔性はかなり低く, 0∿50%の範囲にあつた。C. sincnseとC. frutescensのF_1はもつとも稔性が高く, C. pendulumとC. sinenseのF_1がこれに次ぎ, C. frutescensとC. pendulumのF_1は交雑方向によつて稔度に明らかな差がみられた。C. annuumについてみると, C. pendulumとのF_1は全く不稔で, C. frutescensとのF_1のみ可稔であつた。F_1花粉の不稔はそれぞれの種のゲノム構成の部分的な非相同に基ずくものと考えられる。交雑可能度およびF_1稔性の結果から我国の栽培トウガラシであるC. annuumにもつとも近い種はC. frutescensと考えられ, この種のもつ優良形質を導入して行くことが今後の方向といえよう。
- 京都府立大学の論文
- 1961-09-01
著者
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