トウガラシの授粉に関する研究 (II) : 雌蘂の受精力および蕾授粉
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概要
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1.トウガラシの授粉と採種に関する基礎研究として雌蘂の受精機能の調査と蕾授粉試験を行い, とくに気温との関係を検討した。2.トウガラシの花粉が雌蘂の柱頭上で発芽して花粉管が胚珠に達するには好適な温度のもとでもつとも伸長の早い花粉でもおよそ6時間以上を要し, 全胚珠が授精されるには12時間以上を要する。3.雌蘂の受精力は開花前日の蕾にはまだなく, 開花前数時間のあいだにはじめてそなわるものと推察される。4.蕾授粉は他の果菜類に比較して能率わるく, 高温下ではとくにわるい。これは雌蘂の受精力が蕾の時期にないことと花粉の発芽力が高温下で比較的失われやすいことが主原因と考えられる。開花2日前の蕾授粉では授粉から開花までの間に気温が30℃を越えるときはまつたく結実しなかつた。冷蔵花粉使用による夕刻蕾授粉はかなり有効であるが実用上開花授粉に及ばない。5.雌蘂の受精力保存期間も気温の影響を受けて大きく変化するので, 簡単に日数でもつて表わしたり老花授粉と当日授粉とを比較して一概に良否を論じたりすることはできない。気温との関連のもとで動的な表わし方をする必要がある。
- 京都府立大学の論文
- 1959-09-01
著者
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