ナス科果菜類の生殖に関する研究 I : ナス花粉の発芽に対する諸物質の影響(農学部門)
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概要
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ナス科果菜類のF_1採種の能率化をさらに進めるためにはそれらの生殖に関する生理学的究明が基礎的に重要である。その研究の一環として, まずナス花粉の発芽生理を明らかにするために人工発芽床に種々の物質を添加してそれらの影響を調べた。7cm径のプラスチック製ペトリざらを用い, ショ糖17%, 1級寒天1%, pH5.5の基本培地に各種の被験物質を添加して花粉をまき, 30℃にて6時間おいたのちに固定して鏡検測定した。その結果はつぎのとおりである。NAA, IAA, CCCおよびB-995の添加は花粉の発芽率を高めるが, GA, HMCPAならびにMHの添加では花粉の発芽および管伸長のいずれをも促進しない。核酸塩基類の添加も花粉発芽にはほとんど影響を及ぼさない。アミノ酸類ではプロリンとシステインの添加が発芽促進効果を示す。無機塩類を添加すると多くのものが発芽を阻害するが, カリウムはごくわずか, ホウ素はきわめて顕著に発芽伸長を促進する。ホウ酸を用いた場合は10ppmのホウ素濃度で管伸長速度が毎時375μに達する。これは花柱切除法による生体内での伸長速度の測定結果とほぼ一致する。以上の結果から, ナス花粉の発芽および管伸長には糖以外ではホウ素の存在が決定的に重要な役割を果たしており, 他の諸物質の必要性はあるとしても補助的なものと考えられる。
- 京都府立大学の論文
- 1968-10-15
著者
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