トウガラシ属の種間雑種における座止発現及び座止発現遺伝子の地理的分布
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概要
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Capsicum annuum とC. chinense ′No.3341′との種問雑種では, 発芽後数節を分化して発育を停止する座止の発現する場合がある.座止を発現した個体は, ごくまれな場合を除き, 2年以上栽培し続けても正常に発育することはない.座止発現個体の根の生育は, 茎葉の生育に比べると良好で, 正常に生育する品種を穂木として座止個体を接ぎ木すると根の発育状態は, 正常に発育する個体のものに近かった.種間交雑に伴う座止発現には, 異なる染色体上にある2個の優性補足遺伝子が関与し, ′No.3341′はその中の1個をホモに有することが確められた.′No.3341′との交雑で座止を発現するC. annuumの品種は, 我が国で古くから栽培されている品種, 韓国及び中国の在来品種であった. その他のアジアの品種, インド亜大陸及びアメリカ大陸の品種は, グァテマラの1品種を除き, すべて座止遺伝子 (′No.3341′の遺伝子と補足的に作用をする) を持っていなかった.我が国へのトウガラシの渡来経路については, ポルトガル人による招来説と韓国渡来説があるが, 本実験の結果から我が国へのトウガラシの渡来経路の一つに韓国経路が存在したことが遺伝学的に強く示唆された.
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