実世界における人とロボットの共有信念の推定に基づいた相互適応的な発話生成
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概要
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本論文では,実世界状況において,ロボットが人と効率的及び相互適応的に共有信念を形成しながらコミュニケーションを行うための,発話生成手法を提案する.共有信念は,互いに共通する経験を基盤として形成され,対話者の心的状態の推定や曖昧な発話の理解に用いられる.提案手法は,ロボットが学習する信念システムとして,ロボットの想定する共有信念を表現する関数に加えて,人とロボットの想定する共有信念の一致度を表現する関数を扱う.共有信念を表現する関数は,確率モデルで表される音声言語や動作,オブジェクトの概念などを指示する様々な信念の重み付け和で表現される.共有信念の一致度を表現する関数は,発話が相手に正しく理解される確率の予測値を出力する.信念システムの学習は,人とロボットのオブジェクトを用いたインタラクションを通してオンラインで行われる.ロボットは,一致度を表現する関数を学習することで人の心的状態の推定と発話の予測理解率の推定が可能となり,環境だけでなく,相手との共有信念の一致度に応じて発話の単語数を増減させるなどの適応的な発話生成が行えるようになる.また,そうした発話によるインタラクションを通して一致度を表現する関数自体を更新し,人とロボットが相互適応的に共有信念の形成を行う.ロボットに学習させる信念システムや,人が行動を誤った場合のロボットによる正解の提示の有無など,様々な条件で実験を行い提案手法の有効性を評価した.
- 2009-10-15
著者
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岩橋 直人
情報通信研究機構
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岩橋 直人
(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所
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岩橋 直人
ソニー Csl
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長井 隆行
電気通信大学大学院電気通信学研究科電子工学専攻
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中村 慎也
情報通信研究機構
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長井 隆行
電気通信大学
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長井 隆行
電気通信大学知能機械工学専攻
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岩橋 直人
(独)情報通信研究機構:(株)国際電気通信基礎技術研究所
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