タマネギの球の形成肥大および休眠に関する生理学的研究 (第1報) : 球の形成肥大の様相
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概要
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タマネギの球の形成肥大現象を圃場調査より明らかにし, そこに見出される2, 3の球の形成肥大過程を実験的に確かめ, 次の結果が得られた。1) 日長が長くなると, 草丈の急激なる増加, 新根の発生が顕著となり, 次いで草丈が最大に達した後, 球の肥大が顕著となる。球の肥大が進行するにつれ, 新根の発生は抑制され, 根群は老化して活動が低下する。その結果, 地上部と地下部との発育がしだいに不均衡になり, T/Rは増大する。これとともに倒伏が漸次みられるようになり, 増加して行く。さらに球の肥大が進むと根はほとんど枯死して休眠に入る。2) 草丈の増加は短日条件ではいたつて少ないが, 長日条件が与えられると急激にその増加が誘発される。したがつて生育経過からみた場合球の形成過程は草丈の急激な増加に始まり, 最大に達した後球の肥大にはいる。3) 形態学的に球の形成肥大現象には鱗葉形成がまず長日条件によつて誘起され, 次いで肥大が招来される2過程が含まれる。鱗葉形成の早晩, すなわち球の形成開始時の早晩を表わすには葉鞘基部の太さをもつてすることは不適当で, (1) 草丈が最大に達する時期の早晩, (2) 葉身長一葉鞘長比を外側から内側へ順に結んだ曲線の勾配の低下の早晩によつて比較することができる。4) 根の発生およびそれらの活動は日長, 温度によつて影響され, 長日 bull;高温は根の発生を不良にし, 老化を招ぎ, 根群の活動を著しく悪化させる。球の肥大もまた新根の発生を抑制し, 休眠を誘発する要因となつているものと考えられる。5) 球の肥大に伴なつて首の部分には新葉の葉身がなく, 中空状態となつて最大に発育した葉身部を支持する上に弱点となつている。倒伏はこの部位より倒れるものであるが, 根群による水分供給も大いに関係している。6) 分球は短日条件下では1次のものしかみられないが, 長日条件下では球の肥大に伴なつて3次までのものがみられ, 分球が球の肥大に影響されて, 直接長日に関係はないように思われる。
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