レタスのとう立ちに関する生理学的研究 (第1報) : 花芽形成と体内成分との関係
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概要
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レタスのとう立ちの生理機構を明らかにするために, まず花成と体内成分との関係を調査し, とりまとめたのが本報告である。1. Wayahead, May King, Great Lakes を圃場に直播し, 10日おきに採取し, 炭水化物, 窒素化合物, Auxin および核酸について分析を行なつたところ, 生育とともに炭水化物, Auxin, RNA は増加していくのに対し, 窒素化合物は減少していく。炭水化物およびRNAは花芽分化前最高に達し, 分化後減少するのに対し, 窒素化合物は花芽分化前最低で, 分化後増加している。Auxin は花芽分化前一時低下し, 後増加している。この一時低下時とRNAのpeak とはほぼ一致している。これらの傾向は各品種とも同様であるが, それぞれの含有量は異なつている。すなわち炭水化物およびRNAは花芽分化のおそい Great Lakes が他2品種より多くなる傾向がみとめられる。Auxin は Wayahead に多く, 次いで May king, Great Lakes の順に少ない。2. 高温処理を行なつて Native gibberellin の消長および核酸代謝について調査したところ, Gibberellin 様物質は自然低温区ではほとんど含まれず, 生育日数の増加とともにわずかずつ増加するが, 花芽分化後著しく増加し, 頂花房形成後急増する。高温区では高温処理開始とともに少量が現われ, 漸増するが, 頂花房形成後やはり急増する傾向がみとめられる。また一方核酸代謝について述べると, DNAと酸可溶物は生育とともに, あるいは高温処理によつてほとんど変動しない。RNAは生育日数の増加とともに増加するが, 高温区では処理開始後一時低下してから増加し始め, 花成直前に最高に達し, その後減少し, 分化後また増加している。このようにRNAの消長は高温区の方が低温区より著しく早いが, その含有量は低温区の1/2ぐらいである。3. Auxin 類の葉面散布によつて花成は抑制されるが, 核酸類の散布は花成を促進する傾向がみられる。Gibberellin の散布は茎の伸長を誘起するが, 高温状態においてのみ花芽の形成をも促進した。低温状態では花芽の形成を誘起しなかつた。4. 以上の結果に基づいてレタスの花芽形成の機構をみると, 生育に伴なつて Auxin は増加し, RNA代謝を促進する。一方 Auxin が一時低下するとRNAは質的転換をきたして花芽を形成するものと考えられる。
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