タマネギの球の形成肥大および休眠に関する生理学的研究 (第7報) : 休眠過程に及ぼす環境要因および化学薬品の影響
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概要
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タマネギの休眠機構を明らかにする足がかりをうるために, 休眠期間および萠芽期について調査するとともに休眠期間に及ぼす環境要因および化学物質の影響について調査した。その結果は次のとおりであつた。1. タマネギの自発的休眠期間 (Rest period) は収穫後30日間, それにつづいて他発的休眠期間 (Dormant period) が約60日間あることがみとめられた。2. 萠芽•発根に最適の温度は17°C内外にあり, それよりも温度が高くなるにつれて萠芽発根が抑制された。3. 自発的休眠期間は球の外部肥厚葉除去によつて著しく短縮された。4. 球の萠芽期は球の大きさに影響されないが, 日照条件およびチッ素追肥の多少などにもとずく球の大小間には萠芽期の差異がみとめられた。また倒伏の早い球は倒伏の遅い球にくらべ萠芽が早かつた。5. 貯蔵中の温度と萠芽期との関係をみると, 17°Cがもつとも萠芽しやすく, それよりも高くても低くても萠芽は遅らされた。貯蔵中の乾燥, 酸素制限処理は無処理の球より著しく萠芽をおくらせた。6. Naphthalene acetic acid 処理は球の萠芽をおくらせた。この傾向は濃度が上昇するにつれて顕著となつたが, 球の外部肥厚葉除去した球では著しい差異はみとめられなかつた。Glutathion, Thiamin, Pyridoxin 100ppm溶液の浸積処理によつて球の萠芽が無処理球とくらべて促進されなかつた。Gibberellin 処理は自発的休眠中の球に対して効果がみとめられなかつたが, 他発的休眠期間中の球では萠芽が促進された。7. 以上から休眠の生理的機構には萠芽, 発根に不適の生理的条件があり, ジャガイモなどの休眠と異なる機構が考えられた。
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