キャベツの結球現象に関する生理学的研究 : (第1報) 摘葉の結球体勢に及ぼす影響
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概要
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キャベツについて外葉を結球前の14葉期及び球の肥大充実期に摘葉し, 外葉の役割について検討を加えた.1. 結球開始時 (20葉前後展開期), 葉位に従って葉の展開角度, 葉面積, 葉形を調査してみると, 外側から内側になるにつれて葉が立ち上り, 大きい葉面積となり, 葉形も葉幅のある扇形の葉になっており, 結球体勢が確立されていた.2. 結球前の14葉期に外側の下位葉を摘除しても無摘葉株とほとんど変らなかった. 外葉の内部葉を摘除した場合, それよりも若い葉は著しく発育し, 大きい葉となるが, 葉形は扇形とならないで, 長い葉となって抱合条件が不十分となるばかりでなく, 若葉が光に反応して外側に展開し, 結球体勢の確立が遅れた. 1葉おき摘除では外葉の内側の葉が少し摘除されるので, 外葉の内側摘除区ほどではないが, 結球体勢の確立がやはり阻害される傾向がみられた.3. 球の肥大充実期における球葉の展開に及ぼす栽植密度の影響を60cm株間の疎植区と40cm株間の密植区とで比較すると, 疎植区では球葉の展開が早く, しかも多い傾向があり, 球葉の展開も光に対する反応と考えられ, 外葉による若葉の遮光程度と密接に関係していることが示唆された.4. 球の肥大充実期に外葉の内部葉を摘除あるいは外葉全部を摘除すると, 球葉は著しく早く, しかも多くほどけた. が, しかし摘除された外葉の代りに新聞紙で球を囲ってやると球葉は全くほどけなかった.5. 以上から葉は光に感応して展開するが, 外葉によって次第に内部葉の展開が阻害され, 立ったままとなり,一方内部葉の形態も変化して大きい扇形の葉となって結球体勢が準備されて結球開始となる. その後も外葉は結球体勢を維持して球の肥大充実を進行せしめていると考えられた.
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