タマネギの球の形成bull;肥大および休眠に関する生理学的研究 (第4報) : 葉および根の役割について
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概要
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タマネギの球の形成肥大に及ぼす葉および根の役割を明らかにする目的をもつて, 摘葉および断根処理を行なつた。1. タマネギは長日条件にさらされると草丈の急激な伸長後顕著な球の肥大がみられるが, この急激な草丈の増加は球の形成に対し, 必ずしも必要な過程でない。さらに草丈の短い, 摘葉の多い区では球の形成ばかりでなく肥大も著しく遅らされた。2. 自然長日条件下にあるタマネギを時期別に半数摘葉してみると, 球の形成直前の摘葉は球の形成bull;肥大を遅らせ, 肥大中の摘葉は肥大を抑制したが, 肥大初期ほど摘葉の影響が大きい。また肥大中のタマネギを摘葉度合をかえて処理してみると, 摘葉度が強くなるにつれて肥大が著しく阻害された。さらに全葉を摘葉あるいは球の上半分をも摘除すると, 内部から萠芽する傾向がみられた。3. 戸外のタマネギを球の形成直前に半数断根を行なうと, 球の形成ならびに初期の肥大が促進されたが肥大後期になると肥大速度がにぶり, 無処理区より小さくなつた。断根処理によつて倒伏が斉一に促進された。また肥大中の断根を行なうと, 球の肥大が抑制される一方倒伏は促進された。4. 土壌水分の異なる土壌で肥大中のタマネギに断根を行なうと, 処理直後一時肥大が促進されるが, 多湿区の方がその効果が著しかつた。逆に乾燥区の方が断根による倒伏促進は顕著であつた。土壌水分を最大容水量の20〜30%, 50〜60%, 70〜80%, 90〜100%の4区に分けて上述と同様な実験をなうと, タマネギの肥大には70〜80%の土壌水分がよく, それよりも過湿になつても, 乾燥しても劣るようになつた。倒伏は乾燥に近いほど早く, 次いで過湿, 最後に適湿であつた。断根処理はこの傾向を一層助長していた。5. 以上の結果にもとづいてタマネギの球の形成肥大に及ぼす葉および根の役割について論議を行なつた。
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