マレイン酸ヒドラジツド処理タマネギ球の芽遅延ならびに機能障害発生機構に関する研究
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概要
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MH処理タマネギ球の芽遅延および機能病発生の機構を明らかにするためにMHの構造とそれぞれの関係を追求し, つぎの結果がえられた。1. MHはキノン核, ケトン群, ヒドラジン基, ヒドラジッド基を含み, 核酸の拮抗物としても作用しているので, マレイン酸, パラキノン, ヒドラジン, フェニールヒドラジン, セミカルバジッド, イソニコチン酸ヒドラジッド, チオウラシルおよびMHなどを収穫前に葉面散布して各化学物質と貯蔵力との関係を調査した結果では, MHの萠芽抑制力に匹敵する物質はイソニコチン酸ヒドラジッドで, ついでヒドラジン, セミカルバジッドで, 他物質では効果がみとめられなかつた。したがつて構造的には=C=C-C(=O)-NH-NH2に作用力があるように思われた。一方機能病を含めた腐敗に関係ある物質はチオウラシル, ヒドラジン, セミカルバジッドの各物質で, イソニコチン酸ヒドラジッドはあまり関係していないように思われた。したがってMHの機能病発生と関係ある構造はヒドラジン基を含む核酸拮抗体にあるものと考えられた。2. イソニコチン酸ヒドラジッドおよびMHはピリドキシンの拮抗体として作用することがアベナ伸長テストによつて明らかにされた。ただMHはイソニコチン酸ヒドラジッドにくらべて著しく強力な拮抗体であつた。3. タマネギ底盤部の組織切片の吸収はもつともチオウラシルによつて阻害され, ついでMH, ヒドラジン, イソニコチン酸ヒドラジッドの順に阻害されなくなつた。4. したがつて崩芽抑制はピリドキシンの作用抑制と呼吸阻害によつて, 機能病発生は呼吸阻害によつて, それぞれ誘起されるものと考えられる。
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