タマネギの球の形成肥大および休眠に関する生理学的研究 (第6報) : 球の形成肥大と Gibberellin および核酸代謝との関係
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概要
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球の形成肥大と Gibberellin 代謝および核酸代謝との関係を明らかにする目的で行なわれ, つぎの結果が得られた。1. 頂芽部および葉身内に Gibberellin 様物質がみとめられ, その主な物質はRf値から Gibberellin acid (GA3) であると考えられた。頂芽部内 Gibberellin 含量は日長に著しく影響されており, 長日処理を行なうと, 10日後には短日区より顕著に増加していたが, 30日後になると, 逆に長日区は短日区より少なくなり, 減少していた。若い葉には成熟葉より多量の Gibberellin 様物質が含まれ, Gibberellin level は葉の生長と密接に関係していた。この関係は長日区でも短日区でもみとめられたが, 長日処理30日目の結果では若葉, 成熟葉ともに短日区の方が長日区より多く含まれていた。2. さらに Gibberellin 代謝に及ぼす日長時間の長さの影響について24時間, 20時間, 16時間, 12時間(自然日長) に分けて処理した結果, 頂芽部においても, 葉身部においても日長時間の長いほど Gibberellin 含量が少なくなつていた。3. Gibberellin を外部より注射によつて補給すると短日条件下では若葉の葉身が著しく伸長し, 葉身長-葉鞘長比が増加する傾向がみられるのに対し, 長日条件下では Gibberellin の補給にもかかわらず球の形成がみられたが, 補給された Gibberellin の濃度が高まるにつれて球の形成開始がおくれた。4. 頂芽部の核酸含量は短日条件下では生育日数の増加にともなつて漸増していたが, 長日条件下では逆に減少し, 短日区の頂芽部より著しく少なくなつた。一方RNA含量は短日条件下では少量ずつ増加していたが, 長日条件下では顕著に増加し, 短日区のそれより著しく多くなつた。5. 頂芽部の核酸含量は日長時間の長さに比例して変動し, 日長時間が長くなるにつれてDNAが減少し, RNAの増加がみられた。6. 頂芽部の核酸含量は温度によつても影響され, 高温ほどDNAもRNAも著しく増加した。温度の核酸代謝に及ぼす影響は長日のそれとはまつたく異なつている。7. Kinetin 溶液を5日おきに外部より補給すると, 長日条件下で球の形成が水補給区より促進された。Kinetin の濃度が高いほど球の形成が促進されていた。8. 以上の結果に基づいて球の形成肥大と Gibberellin, 核酸との関係が論議された。
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