レタスのとう立ちに関する生理学的研究 (第2報) : 茎の伸長とホルモン代謝との関係
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概要
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レタスの茎の伸長に関係している生理的要因を明らかにするために行なつたのが本実験である。高温, Gibberellin 散布のほかに光の種類や強さによつて茎の伸長が影響され, これら外界要因を通じて構成される内的要因の変動を追求して考察を行なつた。その結果は次のとおりである。1. 赤色光線は茎の伸長を促すが, 青色光線は反対に伸長を抑制した。頂芽部の Auxin 含量は赤色光線下で著しく多く, 急激に増加していくのに対し, 青色光線下では少なく, その増加もおそかつた。一方茎内の IAA-oxidase 活性は青色光線下のレタスでは著しく強いが, 赤色光線下のそれは弱かつた。2. Gibberellin 散布によつて茎の伸長は誘起されたが, 高温条件下の方が顕著であつた。Gibberellin 散布によつて頂芽部 Gibberellin 含量は高まるが, その高まりは高温区の方が著しかつた。また頂芽部の IAA 含量も Gibberellin 散布によつて高まるが, 高まり方は高温区の方が著しく, Gibberellin 含量と同様の傾向を示した。一方茎内 IAA-oxidase は Gibberellin 散布によつてその活性が低下した, 高温はこの傾向を強めた。3. 茎の伸長は光の強さに影響され, Wayahead では20,000ルックス以下, Great Lake54 では50,000ルックス以下になると茎が伸長し始め, さらに明るさが低下すると茎の伸長はいつそう促進されるものと思われる。大苗の方が小苗より光の強さに敏感に反応した。また種々の明るさのもとで栽培中のレタスに Gibberellin を散布するといずれの明るさのもとでもよく茎の伸長がみられるが, Gibberellin による伸長率は光の強い条件下のレタスほど著しく大きかつた。光の強さは頂芽部の Gibberellin 含量および茎内のIAA-oxidase 活性に影響を与え, 光が弱くなるにつれて頂芽部の Gibberellin 含量は増加し, 茎内のIAA-oxidase活性は低下する結果が得られた。4. 以上の結果に基づいて茎の伸長に及ぼす生理的要因について論議され, 光の強さおよび種類, 温度および Gibberellin の散布は頂芽部の Gibberellin 生産を調節し, その結果茎内のIAA-oxidase activity にも影響を与えて茎内の Gibberellin と Auxin level を変動せしめる。それに伴なつて茎の伸長が左右されるものと推定された。
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