タマネギの球の形成肥大および休眠に関する生理学的研究 (第3報) : 球の形成肥大に及ぼす環境要因の影響
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概要
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タマネギの球の形成肥大に及ぼす環境要因の影響について実験を行なうとともに環境要因の作用仕方を鱗葉の形成と肥大との両面から検討を行なつた。1. 日長時間が長くなるほど草丈は早く最高に達し, 球の肥大が顕著となるが, 球の大きさは逆に小さくなつた。球の大きさは球の形成開始時の苗の大きさに左右されていることが示された。2. 長日の影響は短日によつて打消され, 球の肥大相から栄養生長相に逆転された。逆転に要する日数は球の肥大末期になるにつれて多くを必要とするが, 倒伏後においても逆転された。3. 温度は高いほど日長時間と協力的に働き球の形成を促進するが, 日長時間を補なう作用はみられなかつた。4. 葉の生長は温度の高いほどすやみかであるが, 25°C以上になると, その生長期間が逆に短くなり, 全長ではかえつて短くなつていた。また, 葉の生長の最低温度は10°Cとみられ, 17〜25°Cしが適温と考えられる。この傾向は短日条件下より長日条件下の方が著しい。短日条件下では品種間差異はあまりみられないが, 長日条件下で生育せしめると, 品種間差異が明りように示された。すなわち, 愛知白は10°C下でよく生長し, ついで貝塚早生, 泉州黄の順に生育が劣る。この傾向は温度条件が高くなつても同じであるが, 温度が高くなるにつれ早く生長し最高の葉長となる。その結果愛知白は短くついで貝塚早生, 泉州黄の順に長くなる傾向がみられた。日長時間が長い時は葉の生長の最低温度とみられる10°C下でも球の形成肥大がみられることは注目に値する。5. 日照の強さが変つても長日条件であれば球の形成は影響されないが, 弱い日照下では球の肥大が著しく抑制された。6. 日長時間が長いとき窒素肥料によつて球の形成が影響されないが, 肥大は著しく多窒素の場合に抑制された。それに対し, 日長時間が限界日長に近いときは窒素施用によつて球の形成開始は遅れ, 肥大も遅れたが, 他の条件が良好ならば大球になる可能性が示された。7. 苗の大きさが異なつても日長時間が長日になると同時に草丈が増加し, ほぼ同じ頃最高に達し, 肥大が顕著となるが, 大苗の方が小苗より肥大が著しかつた。したがつて球の形成は苗の大きさによつて影響されないが肥大は著しく影響される。
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