キャベツの結球現象に関する生理学的研究 (第3報) : 結球体勢に果たす頂芽の役割
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概要
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‘長岡交配四季穫り’キャベツを供試し, 結球体勢に及ぼす頂芽の役割について調査した.1. 結球初期に頂芽を含む小球を除去し, その切断面にNAA, GA, BA, ABAの各ホルモンを0.1パーセント含有するように調整したラノリン軟こうをそれぞれ塗布し, 外葉の動きを18日後に調査した. 対照区としてラノリンのみを塗布した処理区を設けた.その結果頂芽部が除かれると外葉は立ち上がった. この立ち上がりをGA, ABAは一層促進し, NAA及びBAは逆に阻害して展開させた.2. 結球直前の株を供試し, NAA 50ppm, GA 100ppm, BA 200ppm, TIBA 100ppm, BCB 2,000ppm及び水を散布し, 20日後に調査した.NAA, BAは葉を展開させ, GA, TIBAは葉を立ち上がらせた. BCBは葉の動きに対して影響を与えなかった.NAA散布によって葉長, 葉幅ともに生長が阻害され, 葉面積も著しく減少した. 葉長より葉幅が一層抑制され, 葉形比が大きくなった. TIBA散布によって内部の若い葉では葉長, 葉幅ともに伸長を促進し, 葉面積を増大した.GA散布によって外葉は葉長より葉幅が抑制されたが, 内部の若い葉では葉長, 葉幅ともに伸長し, 葉面積は増大した. BCB散布は葉長, 葉幅に対して著しい影響を与えなかった.BA散布は外葉の葉長, 葉幅はもちろん, 内部の若い葉のそれらをも伸長させ, 葉面積を増大させた. 葉幅の伸長の方が葉長より著しく, 葉形比を低下させた.3. 幼植物を供試し, ほぼ向かい合っている2枚の葉を残して他は摘葉した苗を供試し, 断根, 摘心にあるいはホルモン処理してから明暗所において, 葉の動きに及ぼすそれらの影響を調査した.断根程度のひどいほど葉は立ち上がり, 摘心すると一層立ち上がった. 明所より暗所においた方がより立ち上がった.NAA 100, 250, 500ppm, GA 100, 250, 500ppm, BA 100, 250, 500ppm, TIBA 100, 250, 500ppm, BCB 1,000, 2,500, 5,000ppm, エスレル100, 250, 500ppm及び水を散布するとともに摘心処理を加えてホルモンの影響を見ると, NAA, BA, エスレル散布によって葉は展開し, GAでは葉を立ち上がらせた. TIBA, BCBの場合葉の動きに影響を与えていなかった.また頂芽部切除あとにNAA, GA, BA, ABA, エスレルそれぞれの0.5パーセントラノリン軟こうを塗布して見ると, NAA, BA, エスレルでは葉を展開せしめ, GA, ABAでは葉を立ち上がらせた.4. 以上の結果から葉の動きに対しては頂芽部内のホルモンバランスが影響を与え, オーキシンあるいはサイトカイニンレベルが高まると葉は光に反応して展開し, ジベレリンあるいはアブシジン酸レベルが高まると, 葉が立ち上がると考えた. また葉の生長にはサイトカイニン, ジベレリンが強力に関与し, 葉形比の変化にも作用するものと考えられた.
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