ハナヤサイの花蕾の分化発育について(第1報) : 花蕾の分化発育に関する生態学的研究
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概要
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ハナヤサイの花蕾の分化発達に関する基礎的研究が少ないので, 花蕾の分化発達に及ぼす環境要因について1959年から圃場および phytotron を使用して実験を行ない, 次の結果が得られた。1. 夏まきおよび春まき試験の結果から最高の収量をあげるためには, は種期から花蕾形成までの日数はサカタ極早生で35日, Early Snowball Aで95日, 野崎早生, Italian broccoli で100日, 増田中生で110日, 増田晩生で130日ぐらい, 花蕾の分化から収穫までEarly Snowball Aで55日, 野崎早生, Italian broccoli で25日ぐらいかかることが理想的で, これがために前者には平均気温で20°C以上で夜間あまり温度が下がらない環境がよく, 後者には15〜18°Cの温度が続くことが望ましい。春まきをすれば, 花蕾の分化までの日数, 花蕾の発達期間はいずれも前述の理想型より短縮されるのに対し,夏まきは花蕾分化までの日数は短縮されるが, 花蕾の発達には長時間を要する。2. 花蕾の分化には温度, 苗の大きさ, 品種が関係し, phytotron を使用して得た結果は苗の小さいときは花蕾分化に長期間の低温を必要とするが, 苗が大きくなるにつれて花蕾形成に必要な低温期間は短縮される。Early Snowball Aは低温に敏感に感応する。次いで野崎早生, Italian broccoli, 増田中生, 増田晩生の順に低温感応しにくく, 花蕾形成に多くの日数を要している。最高限界温度は Early Snowball Aで25°C, 野崎早生も同じく25°Cで, いずれも Blind の様相を示す。Italian broccoli では20°C付近にあるものと考えられる。一方最低限界温度は5°C付近にあるものと考えられ, 0°Cになると凍害にかかつて枯死する。また最適温度は Early Snowball Aで13°C付近にあり, 中晩生種になるにつれて低下する。3. サカタ極早生, 野崎早生, Italian broccoli の種子の低温処理は補足的に Green plant vernalization を助けている。4. 以上の結果からハナヤサイの花蕾分化には低温が必要で, どの発育ステージから与えられても低温感応して花蕾形成の方向へ進むものと考えられる。早期より低温にあつた場合小花蕾を形成して Buttoning となるが, 低温の度合が不足の場合 Blind となる。さらに花蕾分化後に低温が引きつづき与えられないと, Leafy headとなり商品価値がなくなるものと思われる。
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