鹿児島県下で見出された<I>Lycoris</I>新種の成立について
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概要
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鹿児島県下で, 新しい系統と思われる2種類のLycorisが見出された. これら両系統は著者らの諸特性調査により, 同一起源の雑種, つまり<I>L. traubii</I>と<I>L. sanguinea</I>の交雑により生じたものであると推定されている. 本報はこれら両系統の成立を実証するため,人為的な交雑を行い, 両親種とこの2系統の<I>Lycoris</I>(<I>L</I>. sp. AおよびB) ならびに得られた交雑実生にっいて形態学的, 細胞学的な観察から比較検討を行うとともに, 両種の分布ならびに開花期の調査も併せて行った.<BR><I>L. traubii</I>×<I>L. sanguinea</I>および<I>L. sanguinea</I>×<I>L. traubii</I>の交雑における結実率は, それぞれ7.3%および30.1%であった. 正逆双方の交雑で得られた実生の形態は, 両親種の中間的形質を示し, 実生の出葉期,葉の光沢, 葉先の形および葉長/葉幅比などの形態的特性は, <I>L</I>. sp. AおよびBとそれぞれ一致していた.また, 交雑実生の染色体数ならびに核型は, 異数体や部分的に染色体欠失を生じた個体も存在したが, 基本的には<I>L</I>. sp. AおよびBとそれぞれ一致する5V+12R型と4V+14R型であった.<BR><I>L. sanguinea</I>および<I>L. traubii</I>の分布ならびに開花期を調査した結果, 九州の中~南部にかけて秋咲き性の<I>L, sanguinea</I>が存在することを見出し, 特に<I>L</I>. sp. AおよびBが濃密に分布する鹿児島県山川町成川で,開花期が完全に一致する<I>L. sanguinea</I>と<I>L. trattbii</I>が同所的に分布する事実をつきとめた.以上の結果からこの2系統の<I>Lycoris</I>は, 秋咲きの<I>L. sanguinea</I>と9V+4R型の<I>L. traubii</I>との自然交雑により, 鹿児島県薩摩半島南部, おそらくは山川町成川で誕生したものであろうと推断した.
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