スイートピーの花色に関する研究 : (第2報)種々の品種群のアントシアンおよびフラボノール色素構成について
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概要
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本実験はヒドロキシル化レベルを異にしたアントシアン色素どおしの共存に着目し, 近代スイートピー品種群のアントシアンとフラボノール色素構成を検討したもので, 結果はつぎのとおりであった.1.アントシアン色素構成で供試品種をわけると, Dp系色素またはCy系色素単独型と, Dp系+(Cy系), Cy系+(Pg)またはPg+(Cy系)の混在型の5型に大別できたが, Pg単独型はまったく見出せなかった.また, 後者の混在型はアントシアン色素を持つ37品種中65%にあたる24品種にのぼることが確認された.2.ESmまたはEsm型の品種におけるDp系色素は淡色の花弁の品種ではMv>Pt>Dpの順に, また濃色の花弁のそれでは逆にDP>Pt>Mvの順に蓄積した.いっぽう, eSm型の品種におけるCy系色素はPn>Cy, Pn≒CyおよびCy>Pnの3つの蓄積型を示した.とくに後者の2つの型は本実験で新たに見出されたものであった.3.フラボノール色素構成をみると, Dp系色素型の品種にはMy, QuおよびKmが, また, Cy系とPg系色素型の品種にはともにQuとKmが共存したが, Pg系色素型の品種のみがすべてKm>Quの蓄積を示し, アントシアンのPgに対してはじめてKmが主要フラボノールとして対応した.さらに, 淡黄色花弁の1品種にMyとQuとが共存する例がみられたが, アシアニック型品種におけるMyの存在はこれが最初の事例であった.4.Dp系色素型の品種のなかには10%にもおよぶCy系色素を持つものがあった.また, Pg系色素型の品種はすべてが13〜34%のQuとあわせて11〜33%におよぶCy系色素を含んでいた.このように, ヒドロキシル化レベルを異にする色素が高い比率で混在しているところから, 前者(E遺伝子)についてはSm遺伝子に対する上位性が不完全なE′Smのようなものがあること, また後者については劣性遺伝子smは従来から考えられていたようなアモルフではなく, Smのタイプ効果を残したヒポモルフであることを示すものと考えられた.
- 鹿児島大学の論文
- 1983-03-15
著者
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