ツバキ属植物の花色素に関する研究 : I.長崎県平戸市周辺におけるヤブツバキ, サザンカおよびハルサザンカのアントシアン色素について

概要

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長崎県平戸市周辺に自生するツバキ属植物を供試し, 花弁のアントシアン色素について調査したもので, 得られた結果の概要はつぎのとおりであった.1.ヤブツバキ, サザンカおよびハルサザンカから9個のアントシアン色素(色素1〜9)が見出され(Fig.1), そのうち色素1はクリサンテミン(シアニジン3-モノグルコシド)と推定された.また, 色素7,8,9はヤブツバキに, 色素2,6はサザンカにそれぞれ独自に生じるものであった(Table 1).2.ヤブツバキは色素1を, サザンカは色素5をそれぞれ主体とする個体群であった.また, ハルサザンカはヤブツバキとサザンカの中間の色素構成を示すことから, 両者の雑種起源であるという推定が正しいことが示唆された(Table 1,Fig.4).3.ハルサザンカのうち, 3倍体二次雑種はヤブツバキに, 5倍体二次雑種はサザンカにそれぞれ近い色素型を示し, 4倍体一次雑種は中間の色素型を示した(Table 1,Fig.4).4.ヤブツバキ花弁の濃色化は色素1の量に依存し, 色素5とは無関係であった(Fig.5,6).
鹿児島大学の論文
1980-03-19