テッポウユリりん茎の生育反応に関する研究 (第8報) : 親球への低温処理が芯球及び仔球の出葉に及ぼす影響
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概要
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沖永良部島産テッポウユリ「ひのもと」SS球を用い, 0〜5週間の低温 (10°C) 処理がそのりん茎の芯球及び切り離した中部りん片に形成された仔球の出葉に及ぼす影響を調べた.仔球着生数は低温期間が長いほど多い傾向がみられ, 仔球の出葉形態は低温期間が長くなるほどETPが減少し, HTPが増加した.仔球からの出葉は, 芯球からの出葉と違って, 低温期間が長くなるほど遅れた.芯球の出葉についてみると, 4〜5週間低温区では約90%の芯球は極めて早く出葉したが, 残りは実験終了時 (1月7日) まで出葉しなかった. 出葉した個体は草丈が大きく, いずれも花芽を分化した.0〜2週間低温区では芯球の出葉開始は極めて遅かったが, 開始後3〜4週間で供試球はすべて出葉した. これらの個体の草丈は低く, 花芽の分化は認められなかった.3週間低温区では, 芯球の出葉開始期は前2者の中間にあり, 出葉率の増加はもっとも緩やかであった. これら出葉個体のうち早く出葉した個体では, 草丈が大きく花芽が分化していたのに対し, 遅く出葉した個体では, 草丈が小さく花芽の分化は認められなかった.これらの事実から10°Cの低温4〜5週間処理は出葉態勢の整ったりん茎では出葉を促進するが, 整わないりん茎ではむしろ出葉抑制の方向へと導き, 2週間以下の処理は出葉の早晩には影響しないことがわかる.また, りん茎から切り離したりん片とりん茎に組み込まれたりん片とでは, 同じ低温処理を受けながらそれに対する反応は異なることが示唆された.
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