土壌の種類と茶樹による施肥窒素(<SUP>15</SUP>N)の吸収
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概要
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南九州に存在する代表的な3種の茶園土壌を用い,春肥窒素に<SUP>15</SUP>N標識硫安を使用して,茶樹による施肥窒素の吸収利用の差異について試験を行った。その結果の概要は次のとおりである。<BR>1. 茶樹の生育は,定植後の初期は,シラス土壌の生育は悪かったが,次第に回復し,シラス土壌≧安山岩質土壌＞黒ボク土壌の順に良好であった。<BR>2. 土壌の硝酸化成能は,安山岩質土壌＞黒ボク土壌＞シラス土壌の順に高く,シラス土壌では施肥後4週間目においてもきわめて低かった。土壌による施肥窒素の吸着能は,アンモニアおよび硝酸の両形態の窒素とも安山岩質土壌＞黒ボク土壌＞シラス土壌の順に高かった。<BR>3. 一番茶摘採時における土壌中の春肥窒素は,各土壌とも50cmまで明らかに流亡しているのが認められた。<BR>4. 茶樹による春肥窒素の吸収利用は,各土壌とも一番茶およびご番茶に多く,また,1年間の落葉中にも施肥窒素がかなり多く含まれていた。土壌の種類間では,シラス土壌が最も多く,ついで安山岩質土壌,黒ボク土壌であった。<BR>シラス土壌において,茶樹による施肥窒素の吸収利用が最も高かったことは,施肥窒素がアンモニア態窒素として土壌中に長く存在していたことと,茶樹の生育が旺盛になったためと考えられた。<BR>本試験は,茶樹第二研究室との共同研究によるもので,ご便宜を計って下された茶樹第二研究室関谷室長に深く感謝の意を表する。
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