茶樹の根系に関する栽培学的研究 : 第1報摘採が根の生育および機能に及ぼす影響

概要

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茶における地上部生育と地下部生育との相互関係を明らかにするため,品種やぶきたの3年生樹を用いて,摘採を行った場合の地下部への影響を検討した。1.摘採区の地上部乾物重および株当り葉面積の増加は放任区に比べて小さかった。このため放任区との差は二番茶期以後急速に拡大し,四番茶摘採期にはいずれも放任区の約1/3となった。また,二番茶期以後も全葉面積に占める旧葉の比率が50%以上と高かった。2.摘採区の木化根重は一番茶期に減少した後は横ばい状態となったが,放任区の木化根重は一番茶期後も7月上旬まで増加傾向を示した。白色根重は両処理区間で大差なく,季節的変化も少なかったが,摘採区の出色根は放任区に比べて太く,分枝根の少ないことが観察された。3.地下部炭水化物濃度は春から夏にかけ,両処理区とも急速に低下し,三番茶期までにほぼ最低レベルを示した。また,木化根では若い根ほど含有率は低く,かつ早い時期に最低レベルに達したが,白色根では含有率の季節的変化はほとんどみられなかった。4.根の全アミノ酸濃度は,摘採区ではいずれの若さの根も3月下旬(一番茶萌芽期)以後急速に低下し、二,三番茶期には最低レベルとなった。一方,放任区では根の若さによって異なる季節変化を示した。また両処理区とも8月下旬には急激な含有率の上昇がみられ,一番茶萌芽期の水準以上に高まった。5.白色根のTTC還元力は,摘採区では新芽生育期に弱まり,摘採後には強まるという周期性を示した。放任区では摘採区に比べて強く,特に,夏季には3〜追倍強い還元力を示した。
日本作物学会の論文
1981-12-10

著者

山下正隆
農林水産省茶業試験場枕崎支場

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