大阪湾・紀伊水道における植物プランクトン群集のサイズ組成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大阪湾から紀伊水道にかけての海域において,1993年10月,1994年1月,4月および6月の4回の航海において,植物プランクトン群集のサイズ組成について調査した.クロロフィルa(Chl a)濃度を三つのプランクトンサイズ(0.2-2.0μm,2.0-25μm,>25μm)に分画して測定した.調査海域において全Chl a濃度は,0.72から105μg l^<-1>であった.大阪湾における平均Chl a濃度は6.41μg l^<-1>であり,紀伊水道における平均Chl a濃度の0.87μg l^<-1>に比べて約7倍高かった.全Chl a濃度に占めるピコ,ナノ,およびマイクロプランクトンサイズの割合は大阪湾でそれぞれ33%,31%および36%であり,紀伊水道ではそれぞれ62%,27%および11%であった.このサイズ分布の結果より,両海域では明らかにその植物プランクトンのサイズ組成が異なっており,その群集組成も異なることが予想された.本研究におけるピコサイズのChl a濃度の最大値は6.0μg l^<-1>であり,この値は外洋域で報告されている値よりも明らかに高かった.さらに,このピコプランクトンサイズのChl a濃度の最大値は,過去に報告されているピコ植物プランクトンの細胞当たりのChl a含量を5fg cell^<-1>と仮定して算出すると,10^6 cells ml^<-1>の細胞密度であると推定された.
- 日本海洋学会の論文
- 2003-02-24
著者
-
多田 邦尚
香川大学農学部
-
一見 和彦
香川大学瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーション
-
一見 和彦
香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設
-
橋本 俊也
広島大学大学院生物圏科学研究科
-
一見 和彦
香川大学農学部
関連論文
- 大型珪藻Coscinodiscus wailesiiの沈降に伴う生元素の鉛直輸送と沿岸海域の栄養塩環境への影響
- 夏季の過栄養内湾(洞海湾)における生化学的キャラクターから見た粒子状物質の起源と低次生産過程
- 海砂利採取船から排水される高濁度水中の微粒子の拡散
- UV-A領域の紫外部吸収物質の赤潮生物における存在とその役割
- 数値モデルを用いた備讃瀬戸東部海域のノリ色落ちに関する研究
- 富栄養海域(北九州市・洞海湾)の植物プランクトン Skeletonema spp. のアンモニアによる増殖促進
- 感潮河川(北九州市紫川)の高濁度域における懸濁粒子の起源
- 洞海湾で鞭毛藻類が大増殖しない理由
- 過栄養海域(北九州市・洞海湾)における表層水中の細菌分布
- 過栄養海域(北九州市・洞海湾)における植物プランクトン群集のサイズ組成
- 沿岸海域の低次生態系に対する藻場の役割
- 西日本沿岸の藻場の現状と温暖化影響
- 魚類(ハマチ)養殖場における残餌の沈降と拡散
- 水産実験所が直面する問題と将来展望
- 海色画像による赤潮監視の可能性(シンポジウム:沿岸海域の衛星海洋学)
- 夏季洞海湾のプランクトン生態系における物質の流れ
- 富栄養海域(北九州市・洞海湾)における植物プランクトンの高アンモニア濃度に対する耐性
- 瀬戸内海の水質環境とノリ養殖
- シンポジウム「サンゴ礁とその周辺海域の環境」のまとめ(シンポジウム:サンゴ礁とその周辺海域の環境)
- ノリ養殖に被害を及ぼす大型珪藻 Coscinodiscus wailesii の現存量と沈降速度
- 備讃瀬戸東部(香川県沿岸)におけるノリ色落ちと水質環境
- 洞海湾の河口循環流と赤潮形成(シンポジウム:内湾環境における河口循環流の役割)
- 広島湾における植物プランクトン群集のサイズ組成
- 浅海域海底の微細藻類の活性と底泥からの栄養塩溶出(シンポジウム:浅海域生態系における底生微細藻の役割)
- 新川・春日川河口干潟域(瀬戸内海播磨灘)に生息する底生微細藻類の増殖ポテンシャル
- 発光生物,夜光虫の餌の選択性とその増殖 (総特集 海洋発光生物--研究の現状と展望)
- ベーリング海における溶存遊離アミノ酸の挙動と生物活動
- ハマチ Sariola quinqueradiata 養殖場における沈降粒子束
- タイ国バンパコン川河口域における浮遊懸濁物の化学組成
- 知多湾表層水中における窒素とリンの空間的季節的変動
- 讃岐山脈を源流とする吉田川の上流域における窒素の分布
- 香川県の沿岸域における魚類の炭素・窒素安定同位体比の分布
- 知多湾における堆積物中の有機物の起源
- 2005A-OS1-4 水中ロボットによるプランクトンの動態予測(オーガナイズドセッション(OS1):新しい展開をみせる水中ロボット技術)
- 干潟域の付着珪藻の増殖生理(ミニシンポジウム : 干潟域の一次生産者 : その生態と機能)
- 海砂利採取船からの高濁度排水中の微粒子の挙動 : 微粒子の特性と沈降速度
- 瀬戸内海の植物プランクトン量の過去と現在--堆積物試料からの推定 (特集 瀬戸内海の漁業資源はどうなるのか?--食物連鎖に起きた異変)
- 夏季の瀬戸内海・播磨灘の表層水中の粒状物の化学組成
- 大阪湾・紀伊水道における植物プランクトン群集のサイズ組成
- 高速液体クロマトグラフィーによる海洋環境試料中の核酸塩基類の定量
- 広島湾マガキCrassostrea gigasの成長および排糞に対する養殖密度の影響
- 角皆静男氏のコメント(「海の研究」14, 609-611)に対する回答
- 有明海におけるノリと浮遊珪藻の栄養塩競合におよぼす環境諸因子の影響評価
- 人工中層海底を用いたカキ養殖場底質への有機物負荷軽減策の検討
- 水質の長期変動に基づく有明海におけるノリおよび珪藻プランクトンの増殖制限元素の解明
- 養殖スサビノリ(Porphyra yezoensis)葉体の炭素,窒素,リン含有量
- 広島湾と周防灘の底質の比較 : とくに季節変動と各項目間の関係について
- 瀬戸内海の水質環境とノリ養殖
- 瀬戸内海の一次生産と海洋構造
- 7.広島湾生態系の保全と管理(閉鎖性海域の水産環境保全-何が明らかとなったか,何をすべきか,日本水産学会水産環境保全委員会,懇話会ニュース)
- エスチュアリー循環と一次生産(シンポジウム:内湾環境における河口循環流の役割)
- 湾の物質収支から見た適正カキ養殖量の算定
- 河口循環流が夏季の広島湾北部海域の生物生産に与える影響
- 1991〜2000年の広島湾海水中における親生物元素の時空間的変動,特に植物プランクトン態C:N:P比のレッドフィールド比からの乖離
- 瀬戸内海における植物プランクトン態 N:P 比とその変動要因
- 香川県東部沿岸域における表層海水中の従属栄養細菌数とその分布
- 東部瀬戸内海内湾域の志度湾における物理環境, 栄養塩濃度およびクロロフィルα濃度の季節変化および経年変動
- 瀬戸内海における外洋起源の窒素・リンの重要性
- 広島湾のカキ養殖と海洋環境
- 瀬戸内海における人工衛星海色画像の利用--現状と課題 (特集 森林と海--連鎖への回帰) -- (リモートセンシングの利用と海域生態系)
- 沿岸海水および間隙水中の溶存態核酸塩基
- 内湾における化学環境と低次栄養段階の生物量の変動
- 瀬戸内海引田湾における有害赤潮鞭毛藻 Karenia mikimotoi (渦鞭毛藻)の赤潮発生年と非発生年の海域環境の比較
- 香川県における一降水毎に採取した降水中のpHと窒素成分
- 新川・春日川河口干潟域(瀬戸内海備讃瀬戸)におけるリンの収支
- 東部瀬戸内海の表層堆積物における生物起源珪素の分布と収支 : 全有機態炭素・全窒素・全リンとの比較
- 秋季の広島湾における植物プランクトン群集のサイズ組成および海洋細菌現存量
- 過栄養内湾(洞海湾)における粒子状物質の生化学的特徴と鉛直輸送過程の季節変化
- 人手と干潟の生物環境 : 干潟底生生物の現存量と種多様性に与え得る人間活動の影響(シンポジウム:「里海」の学術的基礎)
- 広島湾南部海域における生物生産過程に対する干潟,藻場の役割(シンポジウム:「里海」の学術的基礎)
- 大阪湾の植物プランクトンの季節・経年変動とその要因 : 平成23年度「大阪湾圏域における海域環境の再生・創造に係る研究助成事業
- 栄養塩濃度が大幅に減少した洞海湾の貧酸素水塊と低次生産過程について(シンポジウム:沿岸海域の貧酸素化)
- 「林 美鶴, 柳 哲雄, 橋本 俊也:瀬戸内海における窒素・リンの現存量比率」および「林 美鶴, 柳 哲雄:伊予灘南部・大阪湾におけるDIN・DIP濃度とN/P比の変遷」に対する反論
- 沿岸海域の低次生態系に対する藻場の役割
- 新川・春日川河口干潟(瀬戸内海備讃瀬戸)における懸濁粒子中のリンの挙動