人手と干潟の生物環境 : 干潟底生生物の現存量と種多様性に与え得る人間活動の影響(シンポジウム:「里海」の学術的基礎)
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概要
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干潟域が有する富栄養度によって,生息する底生生物の生物量と生物相がどのように異なるかを明らかにする目的で,香川県下における河口干潟および前浜干潟で調査を実施した.その結果,富栄養度の指標となる栄養塩濃度や有機物粒子濃度が常に高かった新川・春日川河口干潟は,生物量,種多様性ともに高く,アサリやホトトギスガイといった比較的汚濁の進んだ環境に生息する底生生物が優占した.一方で,富栄養度が低かった綾川河口干潟ではマテガイを主とした高い生物量が観察されたものの種多様性は低く,同様に富栄養度が低かった有明浜では生物量,種多様性ともに低かった.また,新川・春日川河口干潟では,2007年の潮干狩りシーズン中におよそ4,100人が干潟を訪れ,16トン以上のアサリが採取されたと見積もられた.この採取量は,潮干狩りシーズン前に現存していた採取サイズのアサリ(20mm以上)の62%を占め,人による採取圧が極めて高いことが明らかとなった.しかしながら,多くの稚貝が加入した2007年は,採取サイズのアサリ現存量が,潮干狩りシーズン以降,速やかに回復しており,アサリが極めて大きな資源回復能力を有していることが示された.
- 2011-02-28
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