洞海湾の河口循環流と赤潮形成(シンポジウム:内湾環境における河口循環流の役割)
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概要
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過度に富栄養化した内湾である北九州市の洞海湾における河口循環流と赤潮形成について,著者らがこれまでの調査・研究から得た知見を総合して考察した.洞海湾においては,年間を通じて栄養塩濃度が極めて高いにもかかわらず,植物プランクトン現存量は珪藻類が優占する夏季に大きく,その他の季節は小さいことが特徴である.即ち,本湾では夏季にのみ珪藻類の赤潮が発生し,鞭毛藻類が卓越しない.洞海湾では河口循環流が周年卓越し,湾奥の表層水は鉛直混合することなく2.0〜2.5日で湾外に流出する.そのため,水温,光環境が好適な夏季にのみ増殖速度の大きい珪藻類が卓越でき,一方,鞭毛藻類は夏季の環境条件下にあっても湾外への流出速度を上回る増殖速度を有しておらず,本湾で大きく増殖することはきわめて困難であることが示唆された.なお,鞭毛藻類は鉛直移動することが知られているが,その鉛直移動速度よりも潮汐残渣流の速度の方がはるかに大きい.また,湾内の海水中で高濃度のNH_4が本湾の優占種のSkeletonemaの増殖を阻害しないのに対し,鞭毛藻類の増殖を阻害することも本湾で鞭毛藻類が卓越しない要因と考えられた.さらに,湾奥の貧酸素環境下において本湾の優占種のSkeletonemaの休眠期細胞の発芽が影響を受けないのに対し,鞭毛藻類のシストの発芽率が低下することも要因として考えられた.
- 日本海洋学会の論文
- 2007-02-28
著者
-
門谷 茂
北海道大学大学院水産科学研究科
-
門谷 茂
北海道大学大学院環境科学院
-
門谷 茂
香川大学農学部
-
上田 直子
北九州市立大学大学院国際環境工学研究科アクア研究センター
-
多田 邦尚
香川大学農学部
-
濱田 健一郎
北九州市立大学アクア研究センター
-
一見 和彦
香川大学瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーション
-
山田 真知子
福岡女子大学人間環境学部
-
山田 真知子
公立大学法人福岡女子大学人間環境学部
-
濱田 建一郎
公立大学法人北九州市立大学国際環境工学部
-
濱田 建一郎
北九州市立大学アクア研究センター
-
一見 和彦
香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設
-
上田 直子
北九州市立大学大学院
-
門谷 茂
香川大農
-
一見 和彦
香川大学農学部
-
上田 直子
公立大学法人北九州市立大学国際環境工学部
-
浜田 建一郎
北九州市環境科研
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