瀬戸内海生態系を対象とする底生微細藻類研究の経過と今後の課題(シンポジウム:浅海域生態系における底生微細藻の役割)
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概要
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瀬戸内海生態系を対象にして,底生基礎生産者の評価を試みた既往の研究を概観した.大型海藻類,海草類のみを考慮に入れていた1990年代中盤まで,瀬戸内海生態系の骨格構造は植物プランクトンを基点に描かれてきた.これに対して1990年代中盤,底生微細藻類の生産量は瀬戸内海底生植物群集の中で最も高く,その存在は量的に無視できない可能性が干潟を対象とした研究から示唆された.2000年代になり,潮下帯に生息する底生微細藻類への着目が始まった.炭素・窒素安定同位体比に基づく食物網解析結果は現在,瀬戸内海浅海域(<40m)で,底生微細藻類が多くの底生動物や底魚の主要炭素供給者になっている可能性を提示している.瀬戸内海潮下帯に生息する底生微細藻類の生産量規模を,早急に解明する必要がある.潮下帯の底生微細藻類は,直上水柱の植物プランクトンと光を介する主従関係,そしておそらく,光と栄養塩を巡るトレードオフ関係にある.両者の均衡関係の時間的な変化が,高次栄養段階の生物にどんな影響を及ぼすのかを解明することは,浮遊一底生植物相互作用系として瀬戸内海を捉える際の興味深い課題である.
- 2009-08-31
著者
-
門谷 茂
北海道大学大学院水産科学研究科
-
福森 香代子
京都大学生態学研究センター
-
山口 一岩
愛媛大学沿岸環境科学研究センター環境動態解析分野
-
吉野 健児
佐賀大学有明海総合研究プロジェクト
-
門谷 茂
北海道大学大学院環境科学院
-
門谷 茂
香川大学農学部
-
門谷 茂
香川大農
-
山口 一岩
愛媛大学沿岸環境科学研究センター環境動態解析分野:(現)岡山理科大学工学部人間環境科学研究室
-
吉野 健児
佐賀大学理工学部 機能物質化学科
-
山口 一岩
愛媛大学沿岸環境科学研究センター:(現)香川大学農学部
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