知多湾表層水中における窒素とリンの空間的季節的変動
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概要
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知多湾における窒素とリンの循環を解析するため,表層水中の各形態の窒素およびリンの分布を空間的,季節的に明らかにした.溶存態無機窒素(DIN)とリン酸態リン(PO_4^<3->-P)は矢作川河口域で高く,矢作川からの流入が主要な供給源の一つであると考えられた.懸濁態窒素(PN)と懸濁態リン(PP)はクロロフィルaの分布とよく一致しており,湾内での内部生産による影響が大きいと考えられた.溶存態有機窒素(DON)は空間的季節的に大きく変動し,2004年5月と11月に著しく高かった.DONが著しく高濃度であった海水の溶存態有機炭素(DOC)とDONとの比(DOC/DON)は4.4から5.4と低かった.また,溶存態有機リン(DOP)の分布とDONの分布は一致しておらず,DONが著しく高濃度であった観測日の湾内のDON/DOP比は他の観測日と比べ高かった.DONが高濃度であった観測日の前1ヶ月間に降水に伴う河川流量の増加があったこと,及び湾内の閉鎖型循環流内でDON濃度が高いと考えられたことから,高濃度のDONは増水時に流域から多量に負荷された生元素が知多湾内に滞留し,種々の生物地球化学的過程を経た後に,溶存有機物として水中に高濃度で蓄積することで形成された可能性が高いと考えられた.
- 日本海洋学会の論文
- 2007-02-28
著者
-
山田 佳裕
香川大学農学部
-
三戸 勇吾
愛媛大学大学院連合農学研究科
-
多田 邦尚
香川大学農学部
-
三戸 勇吾
香川大学農学部
-
山田 佳裕
香川大学農学部生命機能科学科
-
山本 敏哉
豊田市矢作川研究所
-
小川 浩史
東京大学海洋研究所
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