日本における猫GM2ガングリオシドーシス0亜型(サンドホフ病)の遡及的診断 : 本疾患変異アレルが日本猫集団に拡散分布している可能性がある(臨床病理学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
GM2ガングリオシドーシス0亜型(ヒトのサンドホフ病)は,β-ヘキソサミニダーゼ(Hex)AおよびHex Bの同時欠損によって引き起こされるライソゾーム蓄積病である.Hex AおよびHex Bの欠損は,HEXB遺伝子がコードする両酵素の共通構成分子β-サブユニットが異常を来すために起こる.本研究では,過去に原因不明で死亡した2頭の日本猫症例について,サンドホフ病を疑って遡及的診断を行った.この遡及的診断には,以前に日本猫2家系4症例で同定されていた本疾患原因変異を検出するDNA検査を利用した.また,キャリアに対する酵素診断と遺伝子型検査の有効性を比較検討するために,症例家系個体から採取・保存されていた白血球と血漿試料を用いて,酵素解析を実施した.DNA検査の結果,2頭の症例ともに,過去に同定されていた変異を有する劣性ホモ接合体であった.これにより,日本の4箇所の遠隔地域に6頭の症例が同定されたことになったため,この変異アレルが日本猫集団に広く拡散分布している可能性が示唆された.酵素解析においては,4-methylumbelliferyl N-acetyl-β-D-glucosaminideを基質として測定した白血球および血漿のHex A・Bは,正常およびキャリアの猫に比較すると,発症猫ではほとんど活性がなかった.しかし,正常猫とキャリア猫の間では,酵素活性の分布に大きな重なりが認められた.したがって,酵素解析はGM2ガングリオシドーシス発症例の診断には有用であるが,キャリアの遺伝子型を決定するためには利用できないことが明らかとなった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2008-08-25
著者
-
新井 敏郎
日本獣医畜産大学獣医畜産学部獣医生理化学教室
-
中山 裕之
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室
-
大和 修
鹿児島大学農学部
-
大和 修
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室
-
新井 敏郎
日本獣医生命科学大学獣医生理化学教室
-
山崎 真大
北海道大学大学院獣医学研究科獣医内科学教室
-
前出 吉光
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室
-
新井 敏郎
日本獣医畜産大学獣医生理化学教室
-
新井 敏郎
日獣大生理化学教室
-
酒井 洋樹
岐阜大学応用生物科学部
-
柵木 利昭
岐阜大学応用生物科学部
-
佐藤 裕之
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室
-
庄田 徹
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室
-
内田 恵子
ACプラザ苅谷動物病院
-
中山 裕之
東京大学農学部
-
中山 裕之
東京大学 大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室
-
柵木 利昭
岐阜大 応用生物科学
-
柵木 利昭
岐阜大学農学部家畜病理学講座
-
新井 敏郎
日本獣医生命科学大学獣医学部
-
酒井 洋樹
愛知県がんセンター 腫瘍病理
-
村井 厚子
岐阜大学応用生物科学部獣医病理学分野
-
中山 裕之
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学教室
-
林 大輔
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座獣医内科学教室
-
内田 恵子
苅谷動物病院市川橋病院
-
飯田 恒義
いいだ動物病院
-
久田 裕美
ひさだ動物病院
-
久田 篤典
ひさだ動物病院
-
Maede Yoshimitsu
Department Of Veterinary Clinical Sciences Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Universit
-
中山 裕之
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
村井 厚子
岐阜大学応用生物科学部
-
Yamato O
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
酒井 洋樹
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程獣医病理学教室
-
Arai Toshiro
Nippon Veterinary And Life Sci. Univ. Tokyo Jpn
-
大和 修
鹿児島大学 農学部獣医学科臨床獣医学講座臨床病理学分野
-
村井 厚子
岐阜大学応用生物科学部獣医病理学教室
-
前出 吉光
北海道大学大学院獣医学研究科獣医内科学教室
-
Yamasaki Masahiro
Department Of Veterinary Clinical Sciences Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Universit
-
大和 修
Lab. Of Clinical Pathology Dep. Of Veterinary Clinical Sciences Fac. Of Agriculture Kagoshima Univ.
-
中山 裕之
東大
-
新井 敏郎
日本獣医生命科学大学
関連論文
- C57BL/6JJclを遺伝的背景に持つIRS2欠損マウスの効率的な繁殖方法の検討
- 遺伝子検査によりGM_1-ガングリオシドーシスと確定診断された柴犬3症例の頭部MRI所見
- 犬のリンパ球プラズマ細胞性腸炎の生存に関与する予後因子(内科学)
- 頼粒状細胞増殖巣とリンパ腫細胞の浸潤を伴う犬の胸腺腫(短報)(病理学)
- ライソゾーム酸性β-ガラクトシダーゼ欠損の柴犬における臨床症状および臨床病理学的特徴 : ヒトGMlガングリオシドーシスのイヌモデル
- 白血球リソソーム酵素測定によりGM1ガングリオシドーシスと診断された柴犬の1例
- 四塩化炭素誘導性肝薄書に対するリグナン含有亜麻仁油抽出物の防護効果(生化学)
- アリューシャン病ウイルスフェレット由来株に感染し斃死したフェレットの1例
- 1型糖尿病犬の白血球におけるインスリンシグナリングおよび糖・脂質代謝関連酵素遺伝子発現量の変化
- 若齢の小型犬に認められた骨の多葉状腫瘍の1例
- イヌのNeural-cell adhesion moleculeに対するモノクローナル抗体の作製(臨床病理学)
- 犬の中枢神経疾患における脳脊髄液中の自己抗体保有率(短報)(臨床病理学)
- リンパ腫腫瘍細胞におけるエネルギー代謝に関連する酵素活性の変化(臨床病理学)
- 糖尿病ハタネズミとKKマウスにおける解糖系酵素活性と血漿インスリン値の変動
- 犬の脈絡膜原発性黒色腫の1例(外科学)
- 犬の眼球内メラノーマの1例におけるMRI所見(短報)(外科学)
- 頭頂部皮膚に転移巣を形成した猫の頭蓋内髄膜腫の1例
- シーズー犬にみられた小脳粘液型髄膜腫(短報)(病理学)
- 糖質コルチコイド治療で長期寛解が得られた肉芽腫性髄膜脳炎罹患チワワの1例
- C57BL/6JおよびBALB/cAマウスの高脂肪食性肥満における性別, 系統, 年齢の影響
- ネコの肝の伊東細胞とクッパー細胞の組織病理学的特徴(病理学)
- 今注目される猫の肝疾患
- イヌとラットの乳腺腫瘍におけるmatrix metalloproteinases (MMPs)とtissue inhibitors of metalloproteinases (TIMPs)の活性比較(病理学)
- 多血症を呈したシュワン細胞腫の犬の1例(短報)
- 仔犬の視床にみられた神経節膠腫の1例(短報)(病理学)
- 右心房内血栓を認めた蛋白漏出性腎症の猫の1例
- タイ国で3羽のキバタン(Snlphur-crested cockatoo,Cacatua galerita)に認められたオウム嘴羽病(Psittacine beak and feather disease)
- タイ国で発生したpost-weaning multisystemic wasting症候群(PMWS)罹患豚ホルマリン固定材料からのPCR法による豚サーコウイルス2型DNAの検出(短報)
- 耳介および肢端に壊死を呈したクリオフィブリノーゲン血症の犬の1例
- カリニ肺炎のキャバリアキングチャールズスパニエルの一例(短報)
- 若齢猫に見られた巨細胞性肝炎の2例(短報)
- 犬の原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)の一例(短報)
- 猫の食道腺扁平上皮癌の一例(短報)
- 乳牛におけるカルシウム代謝活性化のバイオマーカー : 飼料中カチオン-アニオン差を低下させて誘導される酒石酸耐性酸ホスファターゼ活性の上昇が乳熱予防効果に関係している(内科学)
- 犬における肉芽腫性髄膜脳脊髄炎と中枢性悪性組織球症の病理学的比較(病理学)
- 犬の壊死性髄膜脳炎と肉芽腫性髄膜脳脊髄炎の病理学的比較検討(病理学)
- 犬の中脳黒質における加齢性組織変化
- 新WHO分類による犬・猫の悪性リンパ腫の組織学的診断
- レーザーマイクロダイセクション法を用いた,病理組織からのターッゲット組織の回収と遺伝子解析の試み(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- セロイド・リポフスチン症のボーダーコリーにおけるMRI所見(短報)(内科学)
- 肝内門脈体循環シャントのスタンダードプードルにおける肝病変(病理学)
- チワワにおいて認められた顆粒細胞様変化を有する髄膜腫の1例(病理学)
- イヌの門脈体循環シャント症例の肝に見られるLipogranulomaの病理組織学的解析(病理学)
- ブタとウシの肝におけるクッパー細胞と伊東細胞の病理組織学的特徴(病理学)
- バーニーズマウンテンドッグの悪性組織球症にカルボプラチン投与と放射線療法の併用が効果を示した一例
- 奇形赤血球を呈した子ウシにおけるヘモグロビンタイプ, 赤血球膜蛋白構成および血漿鉄濃度
- 日本における猫GM2ガングリオシドーシス0亜型(サンドホフ病)の遡及的診断 : 本疾患変異アレルが日本猫集団に拡散分布している可能性がある(臨床病理学)
- インドネシア産民間薬用植物抽出物における抗マラリア, 抗バベシア活性の相関(寄生虫病学)
- 培養中のBabesia gibsoniに対するArcangelisia flavaから得られたprotoberberine alkaloidsと20-hydroxyecdysoneの抗バベシア活性(短報)(内科学)
- 赤血球内バベシア原虫に対する中央カリマンタン植物抽出物の効果(短報)(内科学)
- ピリミジンおよびプリンヌクレオチドのBabesia gibsoni増殖に及ぼす阻害効果 : 犬バベシア症において低寄生率と網状赤血球症を同時に起こしうる原因(内科学)
- カニクイザルにおけるアルツハイマー病に関連する病変の病理組織学的研究
- カニクイザルのpresenilin-1蛋白局在に関する病理組織学的研究
- グリコサミノグリカンによる犬精子の受精能獲得誘起および犬卵管・子宮角灌流液中グリコサミノグリカン含有量
- 乳用牛と肉用牛の血漿と白血球中の酵素活性の比較(生化学)
- イバラキ病に感染した黒毛和種雌牛の血清LDHアイソザイムの変動(短報)
- 子牛型白血病由来培養リンパ腫瘍細胞の膜蛋白質抗原の分離と同定
- インスリン投与を行なっている1型糖尿病犬におけるリンパ球構成比の変化(内科学)
- 進行性核上麻痺と考えられた老嶺カニクイザルの一例
- H-ras癌遺伝子形質転換NIH/3T3細胞のサイトソル酵素活性の変動
- 犬の精子ヒアルロニダーゼ, アクロシンおよびN-アセチルヘキソサミニダーゼ活性の体外培養後の変化(短報)
- 犬,猫,牛,馬の赤血球におけるD-グルコーストランスポート活性の比較
- Cerebrospinal fluid biomarkers showing neurodegeneration in dogs with GM1 gangliosidosis : possible use for assessment of a therapeutic regimen
- 犬乳腺腫瘍における血清および組織アルカリホスファターゼ活性の変動
- ペットのメタボリックシンドローム診断 : 種に特異的な指標を用いた基準策定が急務
- 細胞診の効用と限界 : たかが細胞診, されど細胞診
- たかが細胞診、されど細胞診 : より的確な細胞診をめざして
- ヒトc-Ha-rasを導入したトランスジェニックマウスにおけるジエチルニトロサミン投与に伴う肝酵素活性の変動(短報)(生化学)
- 漢方薬(荷花掌)を処方した糖尿病犬における血球酵素活性の変動
- 1型糖尿病犬における血球内酵素活性の変動
- 副腎摘出術を行った犬の副腎皮質癌の1例
- アスパラギン酸ナトリウム投与により誘発された肥満KKマウスにおける肝酵素活性の変動
- ハーブを給与した犬の白血球中のリンゴ酸-アスパラギン酸シャトル関連酵素活性の変動
- 雌DBA/2マウスの腎臓の形態における加齢変化
- アスパラギン酸ナトリウムを投与したハタネズミおよびマウスにおけるアセチルCoAカルボキシラーゼ活性の変動
- MSGで誘発した糖尿病KKマウスの尿糖発現におよぼす去勢とアンドロゲンの影響 (短報)
- 荷花掌投与の有効性が示唆されたインスリン非依存性糖尿病猫の1例
- 日本獣医生命科学大学学術フロンティア推進事業 : 「ゲノム・プロテオーム解析による予防獣医学の展開」
- 牛のTリンパ腫瘍細胞における細胞質酵素活性
- ハタネズミの消化管内容物における発酵生産物と総窒素量に及ぼす給与飼料の影響
- 酵素抗体法(ELISA)による実験小動物の血漿インスリン値の微量定量法について
- Ethylnitrosourea 投与後のラット胎仔中枢神経組織のアポトーシス細胞数および細胞増殖活性の推移
- Monosodium Aspartate (MSA)投与により誘発された糖尿病ハタネズミにおける血中インスリン・グルカゴン値および肝酵素活性の変動
- Monosodium aspartate (MSA)投与により誘発されたハタネズミの糖尿病
- 糖尿病ハタネズミにおけるグルコキナーゼ・ヘキソキナーゼ活性の変化
- 草食性ハタネズミにおける食餌性糖尿病の誘発とグルコースに対するインスリン応答
- 1.2004および2005年度のハイテクリサーチセンターの研究の概要(ハイテクリサーチセンターシンポジウム,第21回日本獣医畜産大学学術交流会)
- 草食性ハタネズミにおける乳酸脱水素酵素アイソザイムの特性 (短報)
- 食餌性糖尿病ハタネズミにおける膵島B細胞の免疫組織化学的変化および電顕的観察
- 糖尿病KKマウスにおけるエストロジェン投与の効果
- メチルアミン法によるハタネズミ乳汁中の乳糖含有量の測定
- 5.和牛の肥育に伴う血液中の代謝産物量の変動 : 特に脂溶性ビタミンとエネルギー代謝との関連性について(ハイテクリサーチセンターシンポジウム,第21回日本獣医畜産大学学術交流会)
- ハタネズミとマウスの赤血球および諸組織におけるNa^+,K^+-ATPase活性(英文)
- 草食性ハタネズミにおける糖尿病家系の選抜と解糖系酵素活性
- ハタネズミにおけるグルコース・ケトン体・揮発性脂肪酸に対するインスリン応答
- ハタネズミにおける食餌性糖尿病の治療試験
- 草食性ハタネズミ(Microtus arvalis Pallas)における食餌性糖尿病の誘発とその発生機序
- db/dbマウスの系統比較から考察されるレジスチンの役割
- 犬・猫の肝臓におけるグルコース代謝酵素の活性およびグルコキナーゼ遺伝子発現の比較
- Relationship between adipose maturity and fatty acid composition in various adipose tissues of Japanese Black, Holstein and Crossbred (F1) steers