犬の中脳黒質における加齢性組織変化

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犬の中脳黒質における加齢性変化についてチロシンヒドロキシラーゼ(TH),グリア線維作酸性蛋白(GFAP),ニューロフィラメント(NF),ユビキチン,一本鎖DNA(ssDNA)及びαシヌクレイン(αSN)に対する免疫染色を用い検討した。 2ヶ月齢から18歳齢までの計34例の犬剖検例の脳組織を検索した。一般組織学検索により,リボフスチン沈着,ホリグルコサン小体,不定形の好塩基性封入体形成,好酸性結晶状封入体形成が高齢犬で確認された。免疫組織化学的に,TH陽性ニューロンは中脳黒質に限局していた。 TH陽性ニューロンは検索したすべての犬で比較的よく保持されていたが,GFAP陽性グリア細胞にりするTH陽性ニューロン割合は,高齢犬で若干の減少を示した。ssDNA免疫染色では,ssDNA陽性ニューロン数に有意な結果を認めなかった。ユビキチンおよびNF陽性腫大神経突起数は高齢犬で明らかな増加傾向を示した。また,ユビキチン免疫染色により,少数の好酸性および好塩基性封入体が陽性を示したが,いずれの封入体もNF陰性であった。αsN免疫染色でも神経細胞体および好酸性あるいは好塩基性封入体の何れも陽性所見が得られなかった。以下の結果より,高齢犬の黒質においては細胞質内封入体やユビキチン陽性変性神経突起が頻繁に観察されるものの,ドパミン産生ニューロンは比較的良く保持されていることが明らかになった。
社団法人日本獣医学会の論文
2003-02-25

犬の中脳黒質における加齢性組織変化

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