犬・猫の乳腺腫瘍・扁平上皮癌および基底細胞腫におけるcyclin A・cyclin D1およびp53の免疫組織化学的解析

概要

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Cyclin A・cyclin D1およびp53蛋白質の犬・猫腫瘍発生への関与について免疫組織化学的に解析した.本研究では176例を用い, 犬108例(乳腺75例・扁平上皮癌16例・基底細胞腫17例)・猫68例(乳腺43例・扁平上皮癌20例・基底細胞腫5例)であった.犬悪性乳腺腫瘍38例中19例(50%)・猫乳腺癌37例中18例(48.6%)でcyclin Aの染色性が核内に斑状に見られ, その良性腫瘍では見られなかった.また犬扁平上皮癌16例中7例(43.8%)・猫扁平上皮癌20例中18例(90.0%)でcyclin Aの著しく強い染色性が核内に見られた.犬基底細胞腫17例中3例(17.6%)のみがcyclin Aの軽度の染色性を核内に散在性に示した.Cyclin D1の発現は犬・猫腫瘍共に極めて稀であった.猫乳腺癌37例中7例(18.9%)でp53の染色性が核内に見られた.また犬扁平上皮癌16例中6例(37.5%)・猫扁平上皮癌20例中8例(40%)でp53の強い免疫反応性が見られた.これらの結果よりcyclin Aが犬悪性乳腺腫瘍・猫乳腺癌および犬・猫扁平上皮癌の増殖に関与すること, p53が猫乳腺癌および犬・猫扁平上皮癌の腫瘍発生に関与していることが示唆された.
2000-07-25