青刈飼料中に含まれる硝酸塩と家畜の下痢症との関連について

概要

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(1)本邦において春先,青刈飼料を多給すると往々にして,家畜の下痢症がみられるが,その原因を,その時期に,とくに含量の多くなる青刈飼料中の硝酸塩と結付けて検討してみた。(2)牛およびめん羊を供試動物として,とくに硝酸塩含量の高い青刈飼料を給与したり,人工的にKNO_3を多く添加給与したりしてみたが,供試動物には,はつきりとした下痢症状はみられなかつた。またその際,血中メトヘモグロビンを定量してみたが,とくに多くはならなかつた。基礎飼料の水分含量および窒素含量の多いときに,同様な試験をしたが,結果は同様であつた。(3)牛の場合,健康状態に多少の異常があり,軽い下痢を起こしていたものに硝酸塩含量の多い青刈飼料を与えた1例では,かなりはげしい下痢を起こした。(4)春先,青刈飼料を多給した場合にみられる下痢症状は,その原因を,そのなかに含まれる硝酸塩だけに求めることは少なくとも不当らしく,それ以外のものにも求めるか,または,そのときの家畜の環境条件に,1部は求めるべきではなかろうかと思われる。
日本草地学会の論文
1963-04-30