本邦産牧草,青刈飼料作物,サイレージの硝酸塩含量について
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概要
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本邦でふつうに栽培され家畜に給与されている牧草,青刈飼料作物,サイレージにどの程度の硝酸塩が含まれているかを知るために,各地の畜産試験場,種畜場などから牧草を入手しその硝酸塩を定量した.それらの場所数は28であり,地域別にみると北海道,秋田,岩手,新潟,茨城,栃木,千葉,岐阜,三重,滋賀,奈良,京都,大阪,和歌山,兵庫,島根,広島,烏取,香川,高知,熊本の名府県であつた.分析点数は牧草についてはイネ科,マメ科あわせて164点であつた.また青刈飼料作物,サイレージは各地から入手することが困難であつたので主として京都近郊からこれを入手した.これらの試料はすべてふつう家畜に給与している程度にまで生育したものであり,とくにイネ科牧草では出穂期,マメ科牧草では開花期に刈取つたものであつた.イネ科牧草の硝酸塩含量は乾物中KNO3として0.02〜4.11%,マメ科牧草のそれは0.18〜3.60%であつた.しかし全試料の89%のものでは,その硝酸塩含量は乾物中KNO3として1.5%以下であつた.したがつて本邦でふつうに用いられている牧草の硝酸塩含量は全般的にはかなり少ないものと推察される.しかし残りの11%のものの硝酸塩含量は変異が広く,なかには3%を越すものもあつた.このように多くの硝酸塩を含む試料は,マメ科よりイネ科のものに多く,またその草種としてはイネ科ではイタリアンライグラス,マメ科ではラジノクローバーが主なものであつた.本試験では硝酸塩を乾物中KNO3として1.5%以上含む牧草は全体の1割程度であつたので,このようなものをまとめて平均すれば,その平均値は全体の様相を必ずしも反映しないきらいがある.そこでこれらを除外して仮に平均値を求めると,イネ科では0.36±0.27%,マメ科では0.61±0.27%であつた。つぎに個々のものについてみると,イタリアンライグラス,0.33±0.21%,オーチャードグラス,0.37±0.29%,ケンタッキー31フエスク,0.45±0.26%,ラジノクローバー0.77±0.30%であつた.レッドクローバーでは27点を分析したが,1.5%以上の硝酸塩を含むものはなく,平均0.51±0.21%となつていた.なおイタリアンライグラスでは大抵の場合硝酸塩含量は少ないが,ときには非常に多いこともあり注目された.これら牧草の硝酸塩含量は地域別にみると,兵庫県以西から入手したものにとくに多いようであり,広島,香川,熊本の各県ではとくに硝酸塩含量が多い牧草がみうけられた.青刈飼料作物ではエンバク1.29±0.56%,トウモロコシ0.95±0.24%,ライムギ0.98±0.61%であつた.飼料カブではその含量の変異が大きく,0.01〜2.74%となつていた。青刈大豆やサイレジではその硝酸塩含量は全般にかなり少なく,乾物中KNO3として0.5%前後であつた.
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