飼料中の硝酸塩が反芻動物に及ぼす影響に関する研究 : III. 硝酸塩の連続投与がめん羊血液中のメトヘモグロビン形成に及ぼす影響
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概要
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硝酸塩の連続投与がめん羊血液中のメトヘモグロビン形成に及ぼす影響を検討するため,体重35〜45kgの成めん羊20頭を用いてつぎのような試験を行なつた.1) めん羊に1日当たり体重の0.04%,0.06%および0.08%の硝酸カリウムを添加した飼料を朝夕2回に等分して給与し,朝めん羊が飼料を摂取した後,それに伴う血液中のメトヘモグロビン含量を測定した.試験は12日間連続して硝酸塩を給与したものと,100日間連続して給与したものとであつた.2) 飼料中に硝酸カリウムを添加して給与すると,めん羊が飼料を採食し終るまでの時間は20〜30分長くなつたが,血液中でメトヘモグロビンが最大値を示す時期は,0.04%添加区で1時間後,0.06%および0.08%添加区で2時間後であつた.なお硝酸塩無添加区ではいずれの試験においても血液中にメトヘモグロビンは全く見出されなかつた.3) 12日間連続して硝酸塩を給与すると,血液中のメトヘモグロビンの最大値は,0.04%添加区で血液100ml当たり0.26〜0.43g,0.06%添加区で0.36〜0.56gで,両区とも試験末期にメトヘモグロビンが相加的に増えていくということはなかつた.これに対し0.08%添加区では,測定値間の変動が大きかつたが,0.60〜0.94gであり,とくに9日目以降でメトヘモグロビンがやや多くなつていく傾向がみられた.4) 100日間連続して硝酸塩を飼料中に添加して給与すると,血液中のメトヘモグロビンの最大値はめん羊の個体によつて差異があつたが,総じて0.04%,0.06%添加区では試験末期にメトヘモグロビンが相加的に増えていくということはなかつた.これに対し0.08%添加区では,硝酸塩の連続投与によつて血液中のメトヘモグロビン含量は少しではあるが相加的に増えていくようであつた.5) 100日間連続して硝酸塩を給与すると,めん羊血液中の総ヘモグロビン含量は徐々に増えていつた.しかし無添加の場合にはそのようなことはなかつた.これは硝酸塩が給与されためん羊の血液中にできたメトヘモグロビンによつて,血液の酸素運搬能力が低下したことに対する代償作用の結果と考えられた.しかし,0.08%添加区での総ヘモグロビンの増加は,0.06%添加区での増加とほぼ同程度になつている点が注目された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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