飼料中の硝酸塩が反芻動物に及ぼす影響に関する研究 : II. 硝酸塩の投与がめん羊血液中のメトヘモグロビン形成に及ぼす影響
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概要
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硝酸塩の投与がめん羊血液中のメトヘモグロビン形成に及ぼす影響を検討するため,体重約35kgの成めん羊8頭を用いてつぎのような試験を行なつた.1) めん羊を同一飼料条件下で飼育し,朝,飼料を摂取した直後にいろいろな量の硝酸カリウムをカテーテルで第1胃内に注入した.その後,経時的に血液中のメトヘモグロビン含量を測定した.硝酸塩の投与量は各めん羊について体重当たり0.015%から0.45%まで,0.005%ごとの7段階とし,硝酸塩の投与の間には10日の間隔をおいて試験をくり返した。2) めん羊の第1胃内に硝酸塩を注入すると,まもなく血液中にメトヘモグロビンができる.その様相を経時的にみればいずれも山型を呈した.メトヘモグロビンが最大値を示す時期は,硝酸塩の投与量が多くなるにつれて遅くなり,0.015%区で1.6時間後,0.045%区で3.6時間後であつた.そしてメトヘモグロビンの最大値は0.015〜0.030%区では血液100ml中0.20〜0.31gであまり変わらなかつたが,硝酸塩の投与量がそれ以上になると急に多くなり,0.045%区では0.68gであつた.さらに経時的にメトヘモグロビン含量を合計したものを仮に累積メトヘモグロビン形成指数とすると,この値は硝酸カリウムの投与量が体重の0.035%以上の区では,とくに大となつていた.3) 本試験では同一飼料条件下でめん羊を飼育していたが,ごくまれに硝酸塩の同一投与量に対する血液中のメトヘモグロビン形成が例外的に多いことがあつた.そのような場合は40回の測定で1回ほどであつたが,そのときメトヘモグロビン含量の最大値は0.025%区で血液100ml当たり1.7g,あるいは0.035%区で2.0gということがあつた.そこで家畜に対する飼料中の硝酸塩の悪影響はこのような場合に著しいのであろうと考えられた.また硝酸塩の投与に伴うメトヘモグロビン形成には,かなりの個体差があるようにみうけられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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