飼料中の硝酸塩が反芻動物に及ぼす影響に関する研究 : IV. メトヘモグロビン形成におけるめん羊個体間の差異
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概要
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硝酸塩投与に伴うメトヘモグロビン形成における個体間の差異を検討する目的で,体重35〜45kgの成めん羊15頭を用いて,つぎのような試験を行なった.1) めん羊8頭にいろいろな量の硝酸塩を添加した飼料を給与したとき,メトヘモグロビン形成に有意な差異がある個体があり,8頭を2頭ずつ28通りに組合わせると,硝酸カリウムの投与量が体重の0.02%のとき11通り,0.03のとき17通り,0.04%のとき20通りの組合わせに5%水準で有意差があった.2) めん羊4頭に体重の0.035,0.040,0.045%の硝酸カウムをカテーテルで投与したときにも同様に個体差がみられ,経時的にはメトヘモグロビン含量が多いときにとくにそれが著しかった.3) 一定量の硝酸塩の投与に伴うメトヘモグロビン形成に差異があっためん羊3頭について,硝酸塩を摂取した後メトヘモグロンができるまでに経ると思われる各段階について検討してみると,一定量の硝酸塩を第1胃内に注入した後の第1胃内液中の亜硝酸態窒素含量における個体間の差異がもっとも大きかった.ついで一定量の亜硝酸塩を第1胃内に注入した後の血漿中の亜硝酸態窒素含量における差異が大きかった.しかし一定量の亜硝酸塩を血液中に注入した後の血液中のメトヘモグロビン含量における差異はごく小さかった.したがって,硝酸塩の投与に伴うメトヘモグロビン形成における個体差は,主として第1胃内液中の亜硝酸態窒素含量における個体差に由来するのではないかと推察された.4) 以上の結果は,硝酸塩が反芻動物に及ぼす影響を検討する場合,とくに動物個体間の差異を予め考慮しておく必要のあることを示唆するものであろう.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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