イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : VII.非構造性炭水化物含有率の選抜指標について

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秋季の自然条件下に生長した栄養生長期のイタリアンライグラスについて,非構造性炭水化物(NSC)含有率の高い品種・系統および個体を選抜するための指標を明らかにする目的で,1977年から1980年の4ヶ年間に品種および個体を供試して得られた試験成績を用い,単一年次内あるいは数年次を込みにして,NSC含有率に対する一般的な観察調査形質を用いての重回帰分析と,NSC含有率と乾物率との単相関,回帰分析を行った。1)重回帰式はいずれの場合にも有意であり,取込まれた形質とその標準偏回帰係数の大きさから,概ね,品種については生育量が大きくて茎重/葉重比が高く,葉は厚いが,平均一茎重の小さいものほど,一方,個体については草丈が低く,茎数は少ないが,生育量が大きくて茎重/葉重比の高いものほどNSC含有率が高い傾向を示すものと認められた。2)乾物率と生重当りNSC含有率との単相関,回帰は単一試験(単年次)内だけでなく数年次の成績を込みにした場合でも0.1%水準で有意であった。特に茎および地上部では相関係数が極めて高いので,それらの乾物率は特に有効な選抜指標になるものと考えられる。3)以上のことから,乾物率以外の複数の形質による推定,あるいは乾物率のいずれを指標としてもNSC含有率に対する選抜が可能と考えられる。しかし,単相関係数が対応する重相関係数よりも常に高かったこと,また単一の形質によれば複数の形質によるより,より容易かつ正確な推定が可能なことから,選抜指標としては乾物率がより適切と言える。
日本草地学会の論文
1983-01-28

イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : VII.非構造性炭水化物含有率の選抜指標について

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